あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「セキュリティ」 (2017年) 深夜のショッピングモールでの銃撃戦

2017年 アメリカ 93分
監督:アラン・デロシュール
出演:アントニオ・バンデラス、 ベン・キングスレー

単純明快なアクションもの。 ★★☆

 

主人公はアントニオ・バンデラス扮する元軍人。
仕事を探してやっと深夜のショッピングモールの警備の仕事にありついたのだが、勤務初日に訳あり少女が助けを求めてやってきた。
追ってきたのはベン・キングスレーに率いられた殺し屋集団。
果たしてバンデラスは少女を守れるのか?
 

設定はとても単純である。
真夜中のショッピングモールだけを舞台にして、立てこもる警備員たち、周りから襲う殺し屋たちとの戦い。
これだけである。
となれば、どれだけ戦いの内容に変化を持たせられるか、そして戦う人物たちにどれだけの人間味を持たせられるか、そのあたりが映画成功の鍵となる。

 

バンデラスはいつもしかめっ面をしている憂鬱気味な元軍人。
ただしアフガニスタン戦線の経験者らしく、その戦闘能力はすごい。
バンデラスか、メル・ギブソンか、という感じで、頑張っている。

 

そしてショッピングモールに詰めていた警備員は5人。
なかなかに個性を描き分けていて、それには感心した。
たとえば、若い警備主任は始めはチャラい男のように見えたのだが、結構男気があって頑張るのである。
二日酔いの蓮っ葉女子もいるし、オタクっぽいあまり頼りになりそうもない男もいる(こいつ、死亡フラグが立っているな、一番にやられるんじゃね?)。

 

逃げてきた女の子はある悪組織の裁判での証人だったのだが、その口封じをするために殺し屋集団が襲ってきたのだった。
だから彼らは容赦のない皆殺しを企んでいる。
しかし、殺し屋の親玉はベン・キングスレーである、役者である。
女の子をおとなしく渡してくれれば大金をあげるよ、そうでなければ皆殺しだよ、どっちがいいかね?
彼の知的な雰囲気が悪者感にすごみを与えている。

 

おい、そんな甘い言葉にのるな、いずれ皆殺しにされるんだ、みんなで戦うしか生き延びる道はないっ!
バンデラスはてきぱきと仲間に指示を出し、戦闘準備を整えていく。

 

ショッピングモールの好いところは何でも置いてあるところ。
それを使ってトラップを仕掛け、火炎瓶まで作ってしまう。ネットで作り方は覚えたよ。

 

しかし5人の仲間が一人ずつやられていく。
無線に応答がない、くそ、あいつもやられたか・・・。
独特な建物配置のショッピングモールなので、今はどの場所に誰がいてどうなっているのかが判りにくかったのはマイナス点だった。
欲をいえば、その複雑な配置を利用しての反撃があると好かったのだが。

 

みんなぼろぼろになり、ショッピングモールには火災も起こって・・・。
で、(お約束通り)女の子奪還の襲撃を知って警察が駆けつけてくる。
何とか助かったぜ。

 

難しいことは考えずに、ただアクションを楽しむ映画です。
渋いバンデラスが頑張っていました。

 

「彼女がその名を知らない鳥たち」 (2017年) 究極の愛?

2017年 日本 123分
監督:白石和彌
出演:蒼井優、 阿部サダヲ、 松坂桃李

これが愛? ねじれた愛の二人。 ★★★☆

 

原作は沼田まほかるの同名作。魅力的なタイトルである。
イヤミスとして評判にもなったが、未読のまま鑑賞。
蒼井優阿部サダヲの共演作なのだが、この二人が、まあ、どちらも上手い。

 

冒頭、時計店にクレームの電話を入れている十和子(蒼井優)が映る.
ネチネチとした絡み方で、もうこの場面だけで、ああ、嫌な女だな、と思わせる。上手い。
そんな十和子は一緒に暮らす陣治(阿部サダヲ)の稼ぎで遊び暮らしている、いわばヒモ女。
自分勝手で、思いやりのかけらもないぐーたら女。
ああ、嫌な女だな。

 

一方の陣治は小汚い印象の冴えない男。
ただへらへらと十和子のご機嫌を取って、馬鹿にされてもひたすら十和子に尽くしている。
なに、この情けない男? どうしてそこまで尽くす?

 

おまけに十和子は、8年前に別れた黒崎という恋人のことを未だ忘れられずにいるのだ。
格好良かった黒崎と比べては、陣治を軽蔑しているのだ。
そのうえで十和子は働きもせずに、陣治の稼ぎで毎日を送っているのだよ。
もうこの二人がどうして一緒に暮らしているのか、訳、わかんな~い!と叫びたくなる。

 

やがて十和子は妻子ある水島(松阪桃李)と関係を持つようになる。
それでも陣治は、そんな十和子をストーカーまがいのことまでして大事に扱うのだ。
この二人、どうなっている?

 

ある日、十和子は刑事から、黒崎が行方不明であることを告げられる。
えっ、もしかして私を独り占めするために陣次が黒崎さんを・・・? 十和子に疑念が生じる。
そして、もしかすれば陣次は今度は水島さんにも同じ事をするかもしれない・・・。


十和子が一途に愛した黒崎だったが、彼は実は酷い男だったのだよ。女性を食い物にするような男だったのだよ。

そんなことにも気づけない十和子を陰から見守って案じる陣治。

観ている者も、陣治だったら彼女を守るために大それたこともやりかねないなあ、本当に陣治はそんなことまでしたのか? と引き込まれる。

さあ、どろどろの二人の関係はどうなっていく?

 

(以下、ネタバレに近づきます)

 

後半になって物語は大きく傾いていく。
それまで秘められていた(一方が忘れていた)十和子と陣治の関係が明かされていく。
えっ、そうだったのか。そんな過去があったのか。

 

この映画は観ていて楽しくなるような物語ではない。映像が素晴らしいわけでもない。
ただ、ただ、陣治と十和子の捻れた愛の形を描いている。
重く澱のように気持ちに残る映画だった。


不器用にただ一途に十和子を愛する陣治のそれは、純粋な愛だったのだろうか。

 

「J.エドガー」 (2011年) 謀略と弱さのFBI初代長官

2011年 アメリカ 138分
監督:クリント・イーストウッド
出演:レオナルド・ディカプリオ、 アーミー・ハマー、 ナオミ・ワッツ

FBI初代長官の伝記物。 ★★★

 

24歳の若さで共産主義過激派を国外追放する特別捜査チームの責任者に抜擢されたJ・エドガー・フーバー(レオナルド・デカプリオ)。
彼はその後FBIを設立して、48年間にわたり長官を務めた。
48年間! FBIといえばフーバー長官、となるわけだ。
イーストウッド監督が、そんな彼の生涯を資料で明らかになっていることをもとに映画化した作品。

 

時折り、FBIとCIAの違いが判らなくなるのだが、簡単に言えば、FBIは州を超えて捜査権を持つアメリカ国内の連邦警察。
FBIが設立されるまでは、アメリカでは州法があり、州を越えての警察活動はできなかったのだ。
日本で言えば、東京で犯罪を犯しても横浜に逃げ込んでしまえば逮捕されなかった?
合衆国って、州の集まりだから法律も州によって違うようだ。

 

映画は、老いを自覚したエドガー(レオナルド・ディカプリオ)が回顧録を口述するという設定になっている。
映像は現在と、回顧場面が交互に映し出され、ディカプリオもハマーもナオミ・ワッツも、若い日の姿と老いてからの姿を演じていた。
ナオミ・ワッツがどちらの時代も美しいのには感心した。

 

エドガーはとにかく科学的捜査による証拠主義だった。
指紋がまだ一顧だにされていなかった時代に、彼はアメリカ各州の犯罪者の指紋を登録管理しようとしている。すごいね。

 

そうやって捜査の近代化と権力の集中を進めていく。
ついには設立したFBIを、犯罪撲滅のための巨大組織へと発展させていく。
もちろん罪を憎む正義感が彼を突き動かしていたわけだが、そのためには時に強引なこともおこない、敵も多かったようだ。

 

エドガーの在任は48年間。日本で言えば大正13年から昭和47年までにあたる。長い!
しかも彼は大統領から任命される官吏にすぎないのだが、なんと8人の大統領から任命され続けているのだ。
これ、異常じゃね? これだけ長官の座に君臨できたのにはなにか恐ろしい理由があったのじゃね?

 

そうなのだ、彼が亡くなるまでFBI長官の座に居ることが出来たのは、盗聴、盗撮などによって時の権力者の弱みを握っていたためなのだ。
極秘ファイルとしてとにかくすごい情報を集めていたようだ(政治的ガーシーかよ 笑)。
ケネディ大統領の兄の情事まで盗聴している。うへぇ。
(この極秘ファイルは、彼の死後、処分を託されたヘレンがすべて焼却したために、内容は一切明らかになっていない(ことになっている))。

 

そんな彼だったから、職場でも、いや人生そのものでも孤独だったのだろう。
彼が心を開いたのは、生涯彼に色恋抜きで尽くしてくれた秘書のヘレン(ナオミ・ワッツ)と、同じゲイの性癖を持つクライド(アーミー・ハマー)だけ。
そしてエドガーは典型的なマザコンでもあった。保守的かつ支配的な母親(ジュディ・デンチ)の影響が影を落としている。

 

2時間越えの映画だが、イーストウッド監督はエピソードを巧みに挟んでくる。
エドガーが実は人種差別主義者で、あのキング牧師ノーベル平和賞を受賞する際には、匿名で、受賞を辞退しないと浮気の証拠を公にするぞなどという脅迫状を送ったりしている。
実にエドガーの人間的な嫌な面も淡々と映し出す。

 

彼がテロや暴動、凶悪犯罪に対処する広域かつ強力な警察組織を作った功績には大きいものがあるのは確か。
しかし一方で目的の為には手段を選ばず、権力者が官僚を利用するのが当たり前なのに、逆に官僚が大統領や司法長官を牛耳っていたのだから、その策士ぶりたるや尋常ではなかったわけだ。

 

最後まで判らなかったのが、生涯忠実に尽くしてくれたヘレンとの仲。
何故、彼女はあんなにまでエドガーにつくしたのだろうか、
ヘレンにとってエドガーは何だったのだろうか?

 

FBIを作った鉄の男が、実はマザコンバイセクシュアルという弱さを抱えた人間だったという姿を描いて、さすがにイーストウッド監督だった。
この映画では実在の権力者を描いたイーストウッド監督は、この後は市井の人たちの実録ものを撮るようになっていきます。

 

「リザとキツネと恋する死者たち」 (2014年) やたらと人が死ぬファンタジー映画

2014年 ハンガリー 98分
監督:ウッイ・メーサーロシュ

メルヘン? ホラー? ★★

 

タイトルも変だし、中身も変なハンガリー映画
奇妙な日本趣味が彩っているファンタジー映画? それともコミカル・ホラー映画?

 

ブタペストに住む30歳のリザは、日本の恋愛小説が大好きな孤独な独身女性。
そんな彼女の友だちは、彼女にしか見えない日本人歌手、トミー谷(このネーミング、トニー谷をもじった?)。
彼が歌う昭和歌謡のような妙な歌(発音が悪くてよく聞き取れないが、日本語で歌っているようだ)に合わせて踊るリザ。
変な映画だなあ。

 

画面はパステル調の色合いで、メルヘンっぽい絵柄。
そしてヒロインは自分だけの世界で夢みる女性。
とくれば思い出すのは「アメリ」。お国がフランスからハンガリーに変わるとこうなる?

 

そんなリザには、どうもキツネが憑いているようなのだ。
日本の狐憑きの伝説そのままに、リザには呪いがかかっているのだ(トニー谷も幽霊なのか?)。
そのために、彼女に好意を抱いた周りの男たちが次々と死んでいく。あれ?

 

日本びいきの監督が日本を訪れたときに、那須に伝わる九尾の狐伝説を知ったとのこと。
そこから想を広げて作りあげた物語のようだ。
で、出来上がったのは、死神憑依のホラー・コメディだったわけだ。

 

リザ欲情した男たちが次々に死んでくのだが、その死に方がとても馬鹿馬鹿しいものばかり。
親切に、画面では”何人目”といってカウントもしてくれる。
あまりに馬鹿馬鹿しい死に方なので、次はどんな死に方するんだろうと楽しみになるぐらい。

 

やがて、リザに好意を持ってくれて、同じ部屋で暮らすようになって、それでも死なないでいる不死身の刑事が登場。
あか抜けない木訥な感じの彼が好いアクセントになっている。
彼は後頭部に怪我をしてガーゼを当てるのだが、その真ん中だけ丸く血がにじむ。
あれ、日の丸をあらわしているんだろうな。

 

どこかもたついていて、古めかしい感じを漂わせている映画。
この独特のユーモア感覚について行けるかどうかで、映画の評価が変わることになります。

残念ながら、私はもう一つ乗り切れませんでした。
でも人によってはものすごくハマる魅力も持っている映画です。

 

 

「SABAKAN サバカン」 (2022年) 甘酸っぱい記憶に・・・

2022年 日本 96分
監督:金沢知樹
出演:草なぎ剛

小学生のひと夏の思い出。 ★★★☆

 

「サバ缶を見ると思い出す少年がいる…」という、売れない作家の久田(草彅剛)のナレーションで映画は始まる。
そして小学5年生だった久田少年が、学校では仲間はずれだった竹本君と一緒に過ごした夏休みの思い出が語られる。

 

時代は昭和50~60年ぐらいか。
長崎に住む久田少年は、ちょっと情け無いけれども本質的なことをしっかりと見てくれる父親(竹原ピストル)と、すぐに頭をはたくけれども気の好い母親(尾野真千子)、弟の4人暮らし。
それほど裕福ではないけれど、愛情いっぱいの家庭。
そんな久田少年はある日、ふいに竹本君に一緒にイルカを見に行こうと誘われる。

 

竹本君は貧しい身なりや、古い家などからみんなから馬鹿にされていた少年。
しかし彼は毅然とした態度をとり続ける強い少年だったのだ。
彼はある理由で(この理由もよかった)冒険旅行の相棒に久田少年を選び、一緒にブーメラン島へイルカを見に行こうと誘う。
二人は一台の自転車で、峠を越えた先の海岸の沖合の島をめざす。

 

峠の坂では自転車が壊れ、不良にも絡まれ、さらに島まで泳ぐうちに足も痙り・・・。
少年たちの一大冒険旅行である。
途中で助けてくれたお姉さんやお兄さんは、二人には女神やヒーローのように思えたことだろう。
みんな優しかったのだ。

 

冒険旅行の別れ際に久田少年がお姉さんに名前を聞く。お姉さんは「ユカよ」と教えてくれる。そして言う、
「それにしても、君ってホントにおっぱいが好きだね」(笑)
久田少年はお姉さんの濡れたTシャツの胸ばかり見ていたのだ。正直なところ、お姉さんはかなり貧乳だったのだけれど(汗)。
照れる久田少年。小学生の男の子って、こうなのだろうなあ。

 

主人公の二人を演じた子役は好かった。
特に久田少年の少し情けない顔つきは何とも味があった。

 

それからの夏休みの毎日、久田少年と竹本君は一緒に遊びまくる。
二人の一日の終わりの言葉はいつも、「さよなら」ではなくて「またね~」だった。
また会うはずの「またね~」だったのだが、ある事件が起きて、夏休みの終わりを待たずに二人に別れがやってきてしまう。

 

竹本君が遠くへ引っ越していく日、動きだした電車に向かって久田少年が「またね~」と叫ぶ、竹本君も「またね~」と叫び返す。二人は電車が見えなくなるまで「またね~」と叫び合う。
年甲斐もなく目頭が熱くなる場面だった。

 

エンドロールのあとで、冒険旅行の日に竹本君が岸壁に描いていた落書きをお姉さんが見つける場面が映る。
観ている者も、一体あのとき何の絵を描いていたのだろうと気になっていたわけだが、最後にこの絵を映してみせる。
好いエンディングだった。

 

ひと夏の少年の冒険ものと言えば、あの「スタンド・バイ・ミー」を思いうかべるが、日本の昭和時代を背景にしているだけにこの映画の方が思い入れをしやすかった。

飾らない二人の少年の素のような演技が何とも素晴らしかった。甘酸っぱい、誰もが自分のことのような感覚を味わえる思い出を描いていた。


タイトルの「サバカン」も(ポスターも)印象的な映画。
サバカン? 映画の中でどんな風に出てくる? それは観てのお楽しみですよ。

 

元・嵐の二宮君の映画に続いて草薙君の映画を観たわけだが、映画としてはこちらの方が上だったな。

 

「TANG タング」 (2022年) 一人と一台の冒険物語

2022年 日本 115分
監督:三木孝浩
出演:二宮和也、 満島ひかり、 奈緒

夏休み家族向け映画。 ★★☆

 

夢を持って張り切っていたものの、挫折した健(二宮和也)。
ばりばりキャリアウーマンの妻(満島ひかり)にも愛想を尽かされている。
そんな彼の家の庭に、タングと名乗る古くさいロボットが迷い込んできた。

 

時代は、ロボットの活躍が人間社会に溶け込んでいるような、今よりは少しだけ未来。
時代遅れな旧式のタングを捨てようとする健だったが、なぜか一緒に彷徨うことに。
そのうちに、タングに積まれているAIはとてつもない未来型のものであることが判り、その争奪争いが始まる。

 

ラクタを寄せ集めて作ったようなタングの外見は、いかにものポンコツ感がある。
その不格好なタングの、一生懸命でどこかおぼつかない動作を観ていると次第に可愛くも見えてくる。
この感じは、そうだ、あのE.T.だ。
あちらは宇宙人でこちらはロボットだけれど、幼い知能で主人公になついてくる可愛らしさがよく似ている。
そういえば、横長の顔面部分もE.T.の雰囲気だよな。

 

ご贔屓のニノはやはり好い。
どんな役でも、ああ、こんな人なんだね、と思わせてくれる。ほのぼの感もあるし・・・。
撮影のときには、どの場面でもタングはいなくて、あとで動くタングを画面に取り入れたのだそう。
すごいね。

 

画面は色鮮やかで、ファンタジックな絵本を見ている感じ。
特に、タングの秘密を知る科学者(奈緒)を訪ねて行った中国の都市風景は(ポスター写真を見てください)、幻想的だった。

 

いろいろな冒険をして二人(? 健とタング、ね)はついに宮古島へたどり着く。
ここにタングの生みの親である科学者(武田鉄矢)がいたのだった。
これで一件落着、か?

 

人生から落後していた青年と、壊れかかった古くさそうなロボット。
一緒に冒険をしていくうちに友情が芽生えて、ともに立ち直っていくというストーリーは、正直に言ってベタな感じではあった。
ニノの映画としてはいささか物足りなかった。

 

ま、夏休みの子ども連れ家族に向けられて作られた映画でしょう。
その意味では安心して観に行けるものになっていました。
最後のあたりで明らかになるTANGの名前の由来は、えっ!という感じで楽しかった。

 

「ソー ラブ&サンダー」 (2022年) 神様同士が戦うぞ

2022年 アメリカ 119分
監督:タイカ・ワイティティ
出演:クリス・ヘムズワース、 ナタリー・ポートマン、 クリスチャン・ベール
    テッサ・トンプソン、 ラッセル・クロウ

ソー・シリーズの第4作目。 ★★☆

 

マーベルものはいろんなキャラクターが絡み合うので、ときどきは時間関係を確認しないと判らなくなる。
本作は、アベンジャーズがサノスとの戦いをおこなったあとの物語。

 

今回の敵は神々に恨みを抱くゴア(クリスチャン・ベール)。
娘を失った悲しみから”全ての神々を殺害できる剣”を手にした彼は、“神殺しゴア”になったのだ。
さあ、自分も神の一人であるソー(クリス・ヘムズワース)はどう立ち向かう?

 

クリスチャン・ベールといえば、なんといってもノーマン版のバットマンである。
ああ、そうか、彼はDCものからマーベルものへ移ってきたのか。
両方のファンとしては、そのうちにワンダーウーマンキャプテン・マーベルの共闘を期待しているぞ(汗)。

 

とにかく敵が強いから、ソーも仲間の助けを借りなければならない。
そんなソーの相棒だったムジョルニアはお姉さんに壊されてしまって、今の相棒はストーム・ブレーカーだぞ。
と思っていたら、ムジョルニアを手にした元カノのジェーン(ナタリー・ポートマン)が、マイティ・ジェーンになってあらわれたではないか。
好いねえ。

 

ソー・シリーズはややコミカルなところがあるのが特徴。
今作では、復活したムジョルニアに心奪われるソーに、ストーム・ブレーカーが焼き餅を焼く、といったところが愉快だった。
ソーも慌てて、いやいや、今の相棒はお前だよ、とストーム・ブレーカーに言い訳をしたりする。二股男、いや浮気男?(笑)

 

それに神々の大集会の場面もコメディ・タッチ。
全能の神ゼウス(なんと、ラッセル・クロウ)がセコいいい加減野郎として描かれている。
だいたいが、ギリシャ神話の神様って人の奥さんを寝取ったり、乱暴狼藉を働いたり、あまり高潔な性格じゃないよね。

 

マット・デイモンがホントのちょい役で出ていた。
あまりに端役だったので、似ていたけれどまさか本人じゃないよな、とあとで確認したら、やはりデイモン本人だった。
友情出演?

 

ゴアが子ども達を誘拐して閉じ込めた牢屋のある星が面白い。
えっ、こんな小さい星? 歩いたら1分で星を一周できてしまうんじゃね? 
まるで「星の王子様」の星。重力はどうなっているんだろうね。

 

たわいもない内容で、楽しませてもらった。
例によってエンドロール後に、次はソーがヘラクレスと戦う羽目になりそうな予告映像が出る。
もうジェーンは復活しないのかな・・・。