監督:アン・リー
出演:ロン・ション、 ヤン・クイメイ
男親に育てられた三人の姉妹の人生は。 ★★★☆
元一流コックの父親は毎週日曜日には豪華な手料理を作る。離れて暮らす3人の娘が集まるからだ。
真面目な教師の長女、気の強いキャリア・ウーマンの次女、女子大生で無邪気な三女という3人の個性がよく描きわけられている。
物語は、彼女たちの初恋に不倫、妊娠、結婚などを通して、次第に年老いてきた父親と娘の交流を描いてゆく。
子がいつかは親を離れていくように、親も子から離れていかなければならないのは誰でもわかっているのだが、実際にはなかなか上手くいかない。
お互いに尊重しあいながらも、肉親であるからゆえの反目もおこってくる。
そんな親子の心の動きを、翠の多い庭を持つ家を舞台に、しっとりととらえている。
一番父親と反目していたようにみえた勝ち気な次女が、結局は父親のために家に残り、おそらく性格も似ていたのだろう、父親と一番分かり合えていたところが泣かせる。
父親も意外に元気なところを見せたりして、見ている者の気持ちもほぐれてくる。
しみじみとした後味。
初期のアン・リーの傑作と思える。
後にあの「グリーン・デスティニー」などを撮る監督とは信じられないくらい。