監督:リュック・ベッソン
出演:リー・ラスムッセン、 ジャメル・ドゥブーズ
大人のメルヘン。 ★★★
小男でうだつの上がらないアンドレ(ジャメル・ドゥブーズ)は借金のために48時間後には殺されることになってしまう。
絶望したアンドレはセーヌ川へ身を投げようとするが、隣に現われた大柄の美女(リー・ラスムッセン)がいきなり川に飛び込む。
あわててアンドレは彼女を助けるのだが、それからというもの、この美女アンジェラはアンドレにつきまとっては、つぎつぎに破天荒な行動をとる。
モノクロのパリの風景が美しい。
良質のモノクロ画面は、下手なカラーの画面よりも観ている者一人一人の色を感じさせてくれる。
撮影は午前中と夕方だけに限って行なったとのこと。陰影が深く、光にこだわっただけのことはある。
小男でぶ男のアンドレと長身で美女のアンジェラのミスマッチがポイントなのだろうが、ストーリー自体は、一歩間違えればラブ・コメの漫画にでもなりかねないもの。
もてないだめ男を、なぜか好意を寄せるスーパー美女が現れて助けてくれる、というたぐいのやつ。パターンとしてはよくある。
主人公のだめ男ぶりはかなりのもので、それが受け入れられるかどうかで、この映画への感情移入も違ってくるような気がする。
ただ、画面がよいので、ストーリー・プラス・アルファを感じさせてくれるのも確かで、飽きることはない。
適度にベッソンらしいユーモアも混じっている。
最後はいただけなかった。
あの珍妙な図柄は止めて欲しかった。あんなものを見せなくたって映画の意図は充分に伝わっている。
最期があまりにひどいために、あのCGをごまかすためにモノクロにしたのではないかと勘ぐりたくなるほど。
それに、アンジェラがむやみに人間的になってしまうところも違和感を感じた。
ベッソンらしいのだろうが、「レオン」や「ニキータ」に比べれば、ランクは落ちます。
公開当時は、アンジェラの秘密を明かさないで下さい、とかいう宣伝文句だったらしいが、原題をみればすぐ判ってしまうことなのでは?