あきりんの映画生活

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「夏の夜は三たび微笑む」  (1955年)

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1955年 スウェーデン 109分
監督:イングマール・ベルイマン
出演:グンナール・ビョルンストランド、 エヴァ・ダールベック 、 
    ウーラ・ヤコブソン 、ハリエット・アンデルセン

ベルイマンの軽喜劇。 ★★☆

「処女の泉」や「野いちご」の、あのベルイマンがこんな映画を撮っていたとは知らなかった。
フランス映画を思わせる4組のカップルの恋愛騒動を、コメディ・タッチを加えてみせてくれる。

先妻との間に牧師学校に通う息子を持つ弁護士は、19歳の若妻と再婚しているが、実は妻は未だ処女のままである。
弁護士はかっての愛人である舞台女優にも未練がある。
ところが、その舞台女優は妻のいる将校と付き合っている。
その将校の妻と弁護士の若妻は友達で、弁護士の家の若い女中は息子を誘惑しようとしたりする。

と、こう書いてくると、人間関係が非常に複雑そうに思えるが、映画はきっちりとそれぞれの人物を描きわけていて、混乱することは全くない。さすが。

正直なところ、前半はややだれていたのだが、後半になり登場人物たちが揃って舞台女優の母親の別荘に出かけることになり、がぜん面白くなる。
それぞれの恋の思惑が交叉して、どんな風に治まるのだろうと思っていたのだが、田園風景の夏の夜が明けると共に、ぴたっと4組の恋が成就するのはお見事。

タイトルは、夏の夜が微笑むたびに恋がひとつ実る、といった内容のことで、なにか詩のような原典があるのかもしれない。

4人の女優が出てくるのだが、いずれもその時代の雰囲気をあらわした美人揃い。
その中の一人、女中役を演じたハリエット・アンデルセンベルイマンの愛人だったとか。

確かに良くできた軽喜劇で、淫らなんだけれども、ちゃんと一定の節度を保っている。
さすがにベルイマンだ、と思うか、なにもベルイマンでこんな映画を観なくても、と思うか、で評価が分かれるのでしょう。