あきりんの映画生活

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「あの子を探して」 (1999年)

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1999年 中国 106分
監督:チャン・イーモウ
出演:ウェイ・ミンジ、 チャン・ホクエー

素朴な人間ドラマ。 ★★★

チョークも満足に買えないような貧しい村の小学校の代用教員になったのは13歳の少女ウェイ。
こんな幼い少女が代用とはいえ、教師をするのかということにまず驚く。
おそらくウェイはお金を稼ぐために代用教員を引き受けたのだろう。

だから、ウェイは子供たちに授業をするということがどんなことなのか、わかっていない。
ただ板書した字を書き写させようとする。精一杯に偉そうに命令するのだが、生徒たちが騒いでもどうすることもできない。
ウェイ自身があまりにも幼いのだ。

そんなウェイも含めて、生徒の子供たちなど出演者は自然で、演技をしているとはまったく思えないほど。
授業中にみんなで稼ぐお金の計算をしている場面がある。
いちばん幼ない生徒が計算も出来ないのに一生懸命に手をあげる。無理しなくていいよと、ウェイがその子の手を降ろさせると、その子がへへという風に恥ずかしそうに笑う。
とても可愛い。

ウェイをはじめ登場人物がみな金銭に細かいことには、大いに違和感を感じてしまう。
しかし、これは中国の生活基盤がわが国とは全く異なっていることからくる違和感であるから、致し方ないことであろう。
町へ出稼ぎに行ってしまった生徒の一人ホクエーを連れ戻しにウェイが町へ出かけるのも、生徒を一人も減らさなければもらえる報奨金めあてだったわけだし。

このように、ウェイの行動は決して美化して描かれているわけではない。
怒ったようにむすっとしているウェイの行動は、幼さからくる愚かな行動ばかりである。
しかし、ウェイは必死なのだ。
自己中心的すぎるようなその必死さによって、物語がすすんでいく。

町でホクエーを探すウェイは、なけなしのお金で墨汁と紙を買い、尋ね人のビラを駅のベンチで必死に書く。
せっかく書き上げたのに、そんなものはなんの役にも立たないよ、と大人に言われる。
ウェイは、じゃあどうしたらいいの?と必死に尋ねる。
大人は投げやりにTV局へ行って相談しろと言う。
ウェイはTV局を訪れるが、当然のように受付で邪険にあしらわれる。
なんとかしてよと必死に頼むウェイに、受付のおばさんは局長に頼めと言う。
ウェイはTV局に出入りする人に片っ端から局長さんですかと尋ねる。

あまりにも浅はかな行動ばかりなのだが、周りの大人がその場しのぎにいい加減に示唆したことを信じてウェイは必死に行動しているのだ。いじらしい。
やがてそのいじらしさが報われて、大円団となっていく。よかった。

終わりのあたりで、寄付された大切なチョ-クで、ウェイは生徒たちと黒板に文字を一つずつ書いていく。「天」とか、「科」とか。
ホクエーは3文字書くことを許可されて、「魏(ウェイ)先生」と書く。思わず泣けてくる。

ウェイはお世辞にも美少女とはいえない。この映画ではそこがよかった。
この映画と同じ年にチャン・イーモウはあの「初恋がきた道」も撮っている。こちらの主人公はチャン・ツィイーで、当時から息をのむほどの美少女だった。
ふたつの映画の少女の撮り方を比べてみると、イーモウ監督の巧みさがよく判る。

初恋のきた道」は洗練された良さだったが、こちらは木訥とした良さの映画です。