2019年 アメリカ 161分
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:レオナルド・ディカプリオ、 ブラッド・ピット、 マーゴット・ロビー、 アル・パチーノ
ぶっ飛んだ偽実録もの。 ★★★
1969年の古き良きと形容されるハリウッドが舞台。
かっては人気者だったTV俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、長年彼のスタントマンを務めてきたクリフ(ブラッド・ピット)が主人公。
落ち目のリックはなんとかもう一度花を咲かそうとするのだが、なかなか上手くいかない。
そんな彼が住んでいるのは高級住宅地の豪邸。
クリフは馬鹿でっかいアメ車(当たり前か)を運転してリックをその屋敷へ送っていくのが日課。
二人は本当に親友なのだなあ。
その彼の家の隣に住んでいるのが、ポランスキー監督、シャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻。
シャロン・テートといえば、あのマッソン率いるカルト・ヒッピー集団に殺されたことで話題になった。
さて、あの事件をタランティーノ監督はどんな風に描く?
映画は、タランティーノ監督は当時のハリウッドが好きでたまらないのだろうなと思わせる遊び心も随所にある。
スティーブ・マックイーンやブルース・リーのそっくりさんも出てくる(もちろん本人役、ね)。
あの頃のTVドラマ「グリーン・ホーネット」のカトウ役でブルース・リーは出ていたのだが、それにしても、あんなに茶化しちゃっていいのだろうか?
(クリフはブルース・リーより喧嘩では強いのだよ。これが終盤で活きている)
面白いなあ、楽しいなあ。
物語の中ほどで、 クリフはヒッピーの少女を彼女のコミューンとなっていた牧場まで送り届けてやる。
この牧場のヒッピーたちが大いに絡んでくるわけだ。
シャロン・テート役のマーゴット・ロビーは「スーサイド・スクワット」で観てからの贔屓。
それにしても、実際のシャロン・テートの写真を見ると、マーゴットに雰囲気が似ている。
華やかで天真爛漫な感じ。
マーゴットが映画館で観ていた映画は、本物のシャロン・テートが出ている映画だった?
シャロン・テート事件を知っていただけに、最後への持って行き方はお見事と感心した。
映画なのだから、このくらい自由にやらなくては、ね。
それにしても、最後のブラピの(いくらラリッていたからと言って)あの過剰防衛、それにディカプリオの火炎放射器。
もういくらなんでもやり過ぎだろ(笑)。
「ジャンゴ」や「ヘイトフル・エイト」に比べると、エンタメ映画ではあるのだが、いささか趣は異なっている。
このところの2作が説明無用のエンタメ性に徹していたのに比して、今作はハリウッドの裏側やシャロン・テート事件をねたにして、と、少し屈折したエンタメとなっている。
しかし、タランティーノ監督らしい無茶ぶりは健在だった。