あきりんの映画生活

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「荒野の用心棒」 (1964年)

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1964年 イタリア 100分
監督:セルジオ・レオーネ
出演:クリント・イーストウッド、 ジャン・マリア・ボロンテ

マカロニ・ウェスタンの代表作。 ★★☆

 

黒澤明「用心棒」を西部劇に翻案したマカロニ・ウェスタンの代表作。
砂埃の舞う荒野の町では二人のボス、二つの組織が対立している。
常に死人がでていて、忙しいのは棺桶屋と埋葬に立ち会う牧師という有り様。
そこにフラリとあらわれた早撃ちガンマンが町に平和をもたらして去っていく、という物語。

 

誰でも黒澤明版と比べてしまうだろう。
そして、やはり本家の方が好いなあと思う人が多いのではないだろうか。
しかし、こちらも悪くはない出来にはなっていた。

 

何が一番負けていたかというと、三船敏郎にあった飄々としたユーモア感である。
イーストウッドは格好良すぎて、ここはユーモアだぞという場面でも、あの苦虫噛みつぶし風だった(苦笑)。
でも、まあ、時代劇と西部劇ぐらい違うのだと思って観れば、こちらも悪くはないのだ。

 

話が横道にそれるが、この映画を再見しようと思ったのは、TV番組「迷宮グルメ 異国の駅前レストラン」のせい。
芸人のヒロシが言葉も通じない異国の駅前食堂で食事をするというだけのこの番組で、「荒野の用心棒」のテーマ音楽が流れる。
つい、懐かしくなって観てしまった。
(ついでに書くと、映画「バックドラフト」のテーマ曲は、あのTV番組「料理の鉄人」のオープニングで使われていた。)

 

閑話休題
当時無名だったクリント・イーストウッドは、この映画で一躍有名になった。
そして、監督レオーネ、音楽エンニオ・モリコーネと組んで、「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」とヒット作を作ったわけだ。
ちなみに「続・荒野の用心棒」という映画もあったが、この映画とは何の関係もない(イーストウッドも出ていない)。

 

時代劇の殺陣とガン・アクションの違いと言えば、身のこなし方だろうと思う。
殺陣ではいかに格好良く刀を振り回すかという、舞踏にも似た美しさが求められる。
それに比べてガン・アクションは、言ってみれば早撃ちだけ。
いかに早く銃を抜いて正確に撃つか、それだけなので見せ場は一瞬である。

 

本家「用心棒」のラスト・シーンの凄さは、その殺陣がガン・アクション的だったところ。
レオー二監督もあれを観て、「用心棒」を西部劇に置きかえようと思ったのではないだろうかと、勝手に推測している。

 

黒澤明「用心棒」が好きだった人も、上手くリメイクしているので、本作も楽しめると思います。