2008年 アメリカ 101分
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジャック・ブラック、 デス・モフ、 ミア・ファロー、 シガニー・ウィーバー
映画オタクのドタバタ・コメディ。 ★★
舞台は街の片隅の小さなレンタル・ビデオ屋。
まだDVDなどなくて、文字通りビデオ・テープで映画の旧作を観ていた時代。
主人公はひょんなことから店を任されたマイク(モス・デフ)と、その悪友のジェリー(ジャック・ブラック)。
どちらも冴えない男なのだが、特にひどいのがジェリー。
変な実験をしたおかげで強力な電磁波を身体に帯びてしまう。
その身体でビデオ屋に現れたおかげで店のビデオ・テープは全部駄目になってしまう。
ありゃ、ビデオを借りに客が来てしまったぞ。
客の手前を取り繕う2人は、なんとダンボールや廃材を使って自分たちで客が借りに来た映画を作ってしまう。
それも「ゴーストバスターズ」や「ラッシュアワー2」といった有名作。
どんな映画が出来上がったかと思えば、当然のことながら、オリジナルとは似ても似つかないチープなもの。
しかし、そのチープさがかえって面白い。
「ロボコップ」は子どもたちが喜びそうな親近感があるし、「2001年宇宙の旅」の宇宙基地でのジョギング場面など傑作だった。
自主制作映画は大人気となり、今度はあれを撮ってくれ、次はこれが観たいぞと、リクエストが入り、順番待ち状態。
店によくいちゃもんをつけに来るおばさんがいる。
どこかで見たような気もする顔だなと思っていたら、なんと、ミア・ファローだった。ちょっと老けていたので、びっくり。
それにシガニー・ウィーバーも出てくる。
どうもミシェル・ゴンドリーは自分が映画オタクだった頃を題材にしすぎる。
本人は何物にも代えがたい思い出なのだろうが、他人にとって必ずしも面白いというわけではない。
この映画も、映画の自主制作をしてみたいと考えた人の夢物語のようなもの。
本作でパロディ化された映画は、ほとんどの人が元映画を知っているような有名作ばかり。
だから、あの名作がこんなチープな映像になるなんて、という落差を楽しむことができる。
それに、よくもまあ考えたものだなあ、と感心もさせられる。
この映画の面白さはそこに尽きる。つまり、それ以上のものは出てこない。
そこが”映画制作を夢みなかった私”には物足りなさが残った。