2017年 アメリカ 105分
監督:ジョージ・クルーニー
出演:マット・デイモン、 ジュリアン・ムーア
スプラッター・ブラック・コメディ。 ★★★☆
監督はジョージ・クルーニーだが、脚本はあのコーエン兄弟。
だから全体の雰囲気は、まったくのコーエン節だった。
お馴染みの小悪党がどんどんと不運の連鎖にはまっていくというブラック劇で面白い。
1950年代(ということは、一部ではまだ公然と黒人差別がおこなわれていた頃だ)の一見平和なニュータウン、サバービコンが舞台。
そこに暮らす良識人の父ガードナー(マット・デイモン)と車椅子の母ローズ(ジュリアン・ムーア)、息子のニッキー。
一家には母の双子の姉マーガレット(ジュリアン・ムーアの二役)も一緒に暮らしていた。
そんな一家にある夜、強盗が押し入りちょっとした手違いでローズが亡くなってしまう。
そこでマーガレットが母親代わりとなり、新しい3人での生活が始まる。
しかし、ガードナーとマーガレットはどうもローズが生きていた頃から好い仲のようだったのだ・・・。
観ている人はだれでも、ははあ、この強盗時間には裏があるのだなと思う。
そう、この映画は事件の裏を明きらかにすることが眼目ではないのだ。
その(浅はかな)悪巧みが巻き起こすその後の、あれよ、あれよ、という展開が眼目なのだ。
ローズの死を調査にやってきた保険会社調査員にオスカー・アイザック。
親切そうに見える彼が、ローズの死について、ただの調査ですからと言って鋭い疑問をしてくる。
このあたりのやりとりはゾクゾクするほど面白い。
後ろめたいマーガレットは言わなくてもいいことまで口走ってしまい、ますます疑われてしまう。
そうなのだよね、小心者の善人は決して悪事はするものではないのだね。
ガードナーも必死で対抗策を考える。
でも所詮は一般市民が犯した悪事。プロの調査員にはかないっこない。
そして、・・・オスカー・アイザック、お主も悪よのお(笑)。
さてガードナーたちの物語と平行してもうひとつの物語も描かれる。
彼の家の隣に黒人一家が引っ越してきたのだ。
以前からの住民は大騒ぎ。白人だけの街だというからここに家を買ったのに・・・。
黒人の排斥運動が公然と繰り広げられる。
さあ、隣では街中の人が集まって大騒ぎをしている最中に、ガードナー家では大変の事態になっていく。
こうして二つの物語が展開する。
それぞれに面白いお話なのだが、残念だったのはこの二つの物語がまったくかみ合っていなかったこと。
もうちょっと工夫すればよかったのに。
最後に不満をもうひとつ。
邦題に付いている「仮面を被った街」って、なに? 的外れの題は付けないで欲しいなあ。