2018年 日本 133分
監督:鈴木雅之
出演:木村拓哉、 長澤まさみ、 松たか子
シティ・ホテルでの犯人捜し。 ★★★
原作は東野圭吾の同名小説。
安定のおもしろさを誇る東野だけあって、この原作小説も充分に楽しめるものだった。
さてキムタクがその面白さに乗っていられるかどうか・・・。
結論から言うと、原作のおもしろさを損なわずに映画化できていた。好かった。
次の殺人場所を予告する紙片が残された連続殺人事件が起こる。
その場所として予告されたホテルにはホテルマンに扮した警官が配備される。
その一人である新田(木村拓哉)はホテルのフロントクラークを務めることになる。えっ、俺、こんなの苦手っすよ。
この映画のおもしろさの一つは、刑事としては優秀なのだがぶっきらぼうな新田と、彼を指導するベテラン・ホテルウーマンの山岸(長澤まさみ)との掛け合い。
はじめは客扱いなどまったくできなかった新田が、山岸の接客プロ根性に感化されていく。
山岸に注意されながらも、元が優秀なだけに、新田は接客術も見事にマスターしていく。
ここは観ていて微笑ましい。
そしてこの映画の面白さのもうひとつは、連続殺人事件の謎解きと平行して描かれるホテルに集う人たちの人間模様。
密会のためにホテルを利用している有名人や、部屋にクレームを付けてアップグレードを狙う人。
わざと備品を盗んだと思わせて謝罪金をせしめようと企む輩もいる。
新田が刑事特有の勘でそれを見破るのも面白いエピソードだった。
それにしても、ホテルマンという職業はあそこまで客のクレームや注文にこたえなければならないものなのか。
そんなクレームを付ける人々への対処が、知らないことばかりで楽しませてくれる。
しかし、この映画を観て、それじゃ私も今度ホテルに泊まったときにわがままを言ってみよう、なんて考える人が出て来ないかと心配になった(苦笑)。
肝心の殺人事件の方も、結婚式会場への怪しい人物の登場や、ストーカーに脅える女性の登場など、盛り上げてくれる。
それにしても、まさか松たか子があんな所で登場するとは!
誰が出ているのかもよく知らずに観たので、思いもしなかった登場で驚いた。
映画としても充分に好い出来だった。
いろいろと批判もされ始めたキムタクだが(「検察の罪人」では酷かった)、今作は悪くなかったぞ。