社会派ドラマ。 ★★☆
スナイパーものというと、冷酷非情なプロが請け負った仕事を淡々とこなしていく、というイメージがある。
漫画「ゴルゴ13」ですり込まれて、小説「極大射程」(映画化されたときのタイトルは「ザ・シューター」だった)で魅せられた。
しかし、今作のスナイパーはやや趣を異にする。
さてこれはデンマーク映画。
といえば、ラース・フォントリア監督や、スザンネ・ピア監督がいた。
しかしこれは狙撃をクライマックスに持って来た肩の凝らないサスペンスがらみの社会ドラマ。
原油採掘に関する選挙公約を反故にした政府。
おこなわないといっていたのに、選挙に勝ったとたんにグリーンランドの原油採掘計画を発表する。
話が違うではないか、新聞社の看板記者ミアは政府の姿勢を烈しく追求していく。
そんな彼女に、匿名電話で採掘計画の裏情報がもたらされる。貴方は何者?
その男は、政府が計画を中止しなければ要人を殺すと言いはじめる。
そして、人を傷つけないような予告の狙撃が開始される。
ミアの行動と平行して、初老の男の行動も映されていく。
その男ラスムスは、堅物の地球物理学者。それでいてライフル協会の会員で射撃の腕は一流だったのだ。
地球がこれ以上温暖化したらどうなると思っているんだ、石油発掘など絶対にさせないぞ。
義憤に駆られたラスムスは孤独な一人きりの戦いをおこなっていく。
しかし、ラスムスの動きは監視カメラで捉えられ、次第に網が絞られていくぞ。
ついに石油発掘事業の要となる人物を狙撃するときが来た。
狙撃に向かうラスムスが理髪屋により、長かった髪を整え、あごひげをきれいに剃る。
そして、それまて監視カメラに映っていたフード付きのジャージー姿から、ネクタイを締めたスーツ姿となる。
なるほど、これは警察のめもごまかしやすいぞ。
ラスムスの動きを察知したミアも、狙撃現場であるビルの屋上に駆けつける。
周りのビルには護衛の狙撃手が待機している。
さあ、どうなるのだ?
要人狙撃の映画と言えば、最高作は「ジャッカルの日」だと思っている。
あちらは警備の厳しい狙撃ポイントにどうやって入るか、武器の持ち込みをどうするか、など、はらはらのし通しだった。
それに比べると、こちらでの警備はゆるかったなあ(苦笑)。
扱っている問題はかなり深刻なものなのですが、映画自体はそれほど重くありません。
単純に娯楽作品としてみることができました。