あきりんの映画生活

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「上海ルージュ」 (1995年)

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1995年 中国 109分
監督:チャン・イーモウ
出演:コン・リー

裏社会の華の女性。 ★★☆

 

今作も1930年の上海が舞台の映画。
魔都といわれた上海の裏社会を仕切るマフィアの親分タンのもとへ、田舎から出てきた少年シュイションがやってくる。
そしてシュイションは、タンの愛人で上海一の歌姫チンパオ(コン・リー)の召使として働くことになる。

 

チャン・イーモウ監督、コン・リー主演という組み合わせに惹かれて鑑賞。
まったく世間を知らなかった少年の目で、チンパオの生き様を捉えていく。
世俗にまみれて欲得も働かせるような大人社会の有り様を、無垢の目で見ているわけだ。
だからどちらかといえば、否定的な感情が交じっているところが上手い演出である。

 

上海マフィアのドンの情婦であるチンパオは、その庇護をいいことに傲慢な女性。
華やかな舞台で歌い、皆にもてはやされている。
そして田舎者のシュイションを小馬鹿にした態度をとり続ける。
この前半での色調は赤だった。
さすがにイーモウ監督らしい色彩美である。

 

後半になって映画はがらりと趣を変える。
マフィアの内部紛争から、タオは少数の手勢をつれて寂れた島に身を隠す。
画面の色調は、前半と対比されるような沈んでいく青である。

 

そして島に渡ってからのチンパオが次第に本来の彼女の素顔を見せ始める。
彼女もまた田舎者だったのだ。辛い過去を乗り越えての、今の虚飾の華やかな生活だったのだ。
気が強く自尊心が高く、高飛車な態度の裏には、彼女の寂しさもあったわけだ。
嫌な女の顔から垣間見せる本性を演じて、コン・リーはやはり好い。

 

コン・リーチャン・イーモウ監督の秘蔵っ子だった。
紅いコーリャン」から始まるイーモウ監督の初期の名作はすべてコン・リーの映画だった。
公私にわたる二人の関係だったが、この映画の後に別れたらしい。
そして20年後にイーモウ監督は「妻への旅路」を撮る。老け役のコン・リーを映して、これは見事な作品だった。

 

邦題がなんとも好い雰囲気を出している。原題は「上海の三人組」?
この映画に関しては邦題の圧倒的な勝ち。
チンパオが舞台化粧で真っ赤な口紅を塗る場面があるが、そこから取ったのだろうな。

 

(以下、ネタバレ)

 

映画は、哀れな女性として終わっていくチンパオを映す。
生前の彼女が、早く田舎へ帰った方がいいよ、と言ってシュイションに数枚の銀貨を分け与える場面があった。
その銀貨は、最後にシュイションのポケットからこぼれて水に沈んでいくのである。
余韻を残す終わり方だった。