あきりんの映画生活

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「ドクター・デスの遺産」 (2020年)

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2020年 日本 120分
監督:深川栄洋
出演:綾野剛、 北川景子、 柄本明、 木村佳乃

委嘱安楽死事件。 ★★☆

 

警視庁捜査一課の刑事・犬養(綾野剛)と高千穂(北川景子)は息のあったコンビのようだ。
そんな二人が、知らないお医者さんにお父さんが殺されたという子どもの訴えで捜査を開始する。
すると、謎の医師ドクター・デスの存在が浮かび上がってきた。

 

原作は中山七里の同名小説。
主人公の刑事二人が活躍するシリーズものらしいのだが、未読のまま映画を鑑賞。

 

実際にアメリカでは、130人もの人を安楽死させた医師がいたとのこと。
この物語はそれを真似たドクター・デスと名乗る人物をめぐるサスペンス・ドラマ。
ドクター・デスは、ネットの闇サイトで、苦しみに絶望している人に安楽死させてあげましょうと誘いかけていたのだ。

 

犬飼と高千穂は、ドクター・デスによって安楽死させられた人物をつきとめ、その家族を調査してまわる。
しかし、家族達は皆ドクター・デスに感謝していたのだ。
苦しみを取り除いてくれた救い主だった、と。

 

もしモルヒネ投与しか苦痛を取り除けないような状態で、それでもなお生きなければならないのか、と問われて、明確な返答のできる人は少ないだろう。
この連続殺人事件での被害者っていった誰なんですかね?という素朴な疑問を高千穂は持つ。
安楽死の問題は大きい。

 

難病の息子の安楽死を依頼した父親に、犬飼は、息子さんは本当はもっと生きたがっていた、お父さんの苦労を終わらせるために息子さんは自分の死を望んだのだ、といった意のことを言う。
それを聞いた父親は、あなたは残酷な人ですね、と答える。

 

原作では、なぜ犯人が安楽死に導くのかという動機が書かれていて、かなり深いものになっているとのこと。
しかし、この映画では犯人の動機は単に快楽殺人だった。ちょっとなあ。
ということで、安楽死について考える社会派サスペンスだと思って観るとがっかりする。

 

脚本はまったく駄目だったが、出演者は皆よかった。
綾野剛が本当は走るのは得意(陸上部出身、県の高校生400m記録を持っていたこともあるはず)なはずなのに、もたついてみたり、転んでみたり。
役者って演技なのだなあ。
北川景子の凜とした佇まいも好かった

 

そして、ついこの間までテレビでは幹事長だった柄本明
今度は河原のホームレス。どちらも演じきってしまうのだから、すごい。
この映画でもさすがの顔芸を見せてくれる。すごい俳優だ。

 

そして木村佳乃にも感心。
前半の参考人として事情聴取されているときと、後半で取り調べを受けているときとではまったく違う印象となる。
これにも感心した。

 

出演者はそれぞれに良かったのだが、映画自体はそれを活かせていなかった。
物語が非常に浅いものになっていた。
残念。