2020年 日本 113分
監督:福田雄一
出演:大泉洋、 ムロ・ツヨシ、 橋本環奈
歴史ギャグ。 ★☆
三国志と言えば、横山光輝の長編漫画を読んだ、吉川英治の小説も読んだ。
シュミレーション・ゲームの走りだったコーエイの「三国志」もやり尽くした。
映画ではジョン・ウー監督の「レッド・クリフ」も観た。
これだけの三国志大好き人間なのだから、新解釈された三国志を観ないわけにはいくまい・・・。
この映画、西田敏行が解説役として三国志の時代背景を簡単に説明してくれる。
しかし、ある程度は本当の三国志を知っていないと、このおふざけのどこが面白いのか、意味も判らないだろう。
とにかく登場人物が(まじめな人物ほど)茶化しまくられているのである。
なによりも劉備(大泉洋)がへたれなのである。
義のためには我が身の危険も省みないという、上司/管理者の鏡とされる、あの劉備玄徳がへたれなのだよ。
関羽と張飛はまだまともなのだが、真面目沈着の超雲にいたっては自意識過剰のナルシスト。
さらにぶっ飛んでいるのが、口から出任せのいい加減男の諸葛亮孔明(ムロ・ツヨシ)。
彼の策略は、実はすべて頭の上がらない奥さん(橋本環奈)が授けていたというところがミソだった。
ムロが軽佻浮薄な感じをよく出していた。名優だな。
もちろん曹操(小栗旬)も孫権も出てくる。彼らは割とまとも。
しかし、美形で孔明と並ぶ策略家でもあった周瑜は、意地悪、根性悪の人物像となっていた。
ね、このあたり、原作の人物像を知っていないと、ギャップのおもしろさが判らないでしょ。
極めつけは、薫卓と呂布の仲を裂こうとして送り込んだ絶世の美女の貂蝉。
なんと、渡辺直美である。えっ、絶世の美女のはずだよ。
当時はこの体型が美女の基準だったという、もう無茶苦茶な設定。
あの身体で男を魅了する腰振りダンスを、ゆっさゆっさとこれでもかと披露する。
もう勘弁してくれぃ!
クライマックスは赤壁の戦い。
孔明が10万本の矢を3日で集めたり、連環の計で曹操軍を火攻めにしたりと、一応は原作をなぞっている。
しかし、そのちゃかし方が軽い。浅い。薄い。
面白いには面白いのだが、その面白みが軽い。浅い。薄い。
もちろんコメディだとは承知のうえで観たわけだが、ここまで酷いとは思わなかった(汗)。
パロディにする以上は、原作の重みに匹敵するだけの深みのある面白さにして欲しかった。
なに?そんなものを狙った映画ではない?
そうか、私の勝手な「三国志」への思い込みが強すぎたのか・・・。