あきりんの映画生活

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「刑事」 (1959年)

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1959年 イタリア 118分
監督:ピエトロ・ジェルミ
出演:ピエトロ・ジェルミ、 クラウディア・カルディナーレ

イタリアの刑事物語。 ★★★☆

 

アパートの資産家宅に泥棒が入る。
隣家の女中アッスンタ(クラウディア・カルディナーレ)の婚約者ディオメデが疑われたのだが、無実だった。
すると、今度はその隣家で夫人が殺された。
機動隊の警部(ピエトロ・ジェルミ)が捜査に当たることになる。

 

今回再見するまでは、この映画はカルディナーレ主演の悲恋ものだと思い込んでいた。
そんな風に記憶していたのだ。
まったく違った。タイトル通りにこの映画は”刑事物語”だったのだ。

 

警部は被害者の利害関係を探り、人間関係を解きほぐしていく。
浮気をしていた夫、資金援助をしていた医者・・・。犯人は誰だ?
地道な聞き込みをおこない、容疑者の尾行を指示する。
ソフト帽が似合って、いつも煙草をはなさない警部は忙しく立ち回る。

 

ピエトロ・ジェルミ監督はこの映画でも、そしてもう一つの傑作映画「鉄道員」でも主役を演じている。
苦み走ったひとくせありそうな警部役の雰囲気をよく出していた。
クリント・イーストウッドにしても、人に任せるよりも自分で演じてしまった方が思い描いた作品になるのだろうか。
いずれにして才能のなせる技である。

 

市井の人々の喜怒哀楽も描かれて、ふとしたことで警部は犯人を突き止める。
今度の真犯人こそは、アッスンタの婚約者ディオメデだったのだ。
えっ、まさかあの人が犯人? あの人が殺人者?

 

さて、いよいよ映画の最後である。
あの有名なカルロ・ルスティケリ作曲の「死ぬまで愛して」である。
アモーレ、アモーレ、アモーレ、ミオの歌が流れて、車を追って砂埃の中をどこまでもカルディナーレが走ってくる・・・。
と思っていた。・・・違った・・・。

歌は流れず、カルディナーレが車を追うのも一瞬だけだった。
すぐにエンドクレジットに切り替わり、そこで主題歌が流れるのだった。

 

記憶というのはいい加減なものだ。
勝手に自分の中でドラマティックな場面を創り上げていたのだった。
でも、私が監督だったらエンディングをもっと引っ張ったのになあ。

 

それにしても、この時代の映画はどうしてこれほどに心地よいのだろうか。
描かれる内容はもちろん様々なのだが、どれもが柔らかい詩情をたたえている気がする。
映画自体に、気持ちがささくれたところがない。
映画がそういうものをめざして作られていた時代だったのだろう。