1974年 アメリカ 103分
監督:ビリー・ワイルダー
出演:ジャック・レモン、 ウォルター・マッソー、 スーザン・サランドン
コミカル舞台劇の映画化。 ★★☆
舞台は1020年代のシカゴ。
死刑囚の脱獄事件をモノにしようとする新聞記者たちの騒動をコミカルに描く。
こういうのって、ビリー・ワイルダーは得意そうだよな。
敏腕記者だったヒルディ(ジャック・レモン)は結婚を機に辞職しようとしていた。
しかし編集長のウォルター(ウォルター・マッソー)は、有能な彼をなんとかして引き留めようとしている。
そんな日に、死刑囚のウィリアムズが脱走したとの知らせが記者クラブに入ってくる。
どの記者も、よし、他社を出し抜く記事を書くぞっ。
原作となった戯曲は4回も映画化されているとのこと。本作はその中の3回目の作品。
よほど監督をして映画にしてみたいと思わせるものがあるのだろう。
今作の見所は、なんといってもお調子者のジャック・レモンと老獪なウォルター・マッソーの掛け合い。
二人の周りで死期囚や、新聞記者や娼婦がわいわいがやがや。
映画の大半は裁判所の記者クラブの一室が舞台。
他の記者が取材に出はらってヒルディ一人になったところへ、当の脱走した死刑囚が逃げ込んでくる。
よし、彼を匿って独占記事をものにするぞ。ヒルディの記者魂が燃え上がる。
この映画、根っからの悪人は出てこない。
警官殺しとされた死刑囚だって、ほんの手違いで起きた事故みたいなもの。実は、死刑執行中止命令も出ていたのだ。
みんな善良な人たちなのだが、それぞれの思惑が食い違うわけだ。
ヒルディの婚約者(スーザン・サランドン)は、新聞記者なんか止めて早く引っ越しましょ。
判ったよ、そうするよ。でもその前にこの記事だけは書かしてくれ。
ウォルターは、そうだ、ヒルディ、お前は根っからの新聞記者だ。一緒にこの特ダネをモノにしようじゃないか。
他の新聞記者たちは、おい、ヒルディ、犯人を何処かへ隠していないだろうな、なんか怪しいなあ。
こうしてみんながあたふたとして騒ぎまくる。
たわいもない、と言ってしまえばそれまでだが、ま、上品な吉本新喜劇みたいなもの(と言ってはあまりにも失礼?)。
ラスト、無事に退職して婚約者と共に新天地に向かうヒルディ。
すると、見送りに来た駅でウォルターは大事な時計をヒルディに餞別に渡す。
おお、ウォルターも好い奴だったのだな・・・。
とここで、にやりとさせるオチがあった。
さすがワイルダー監督、最後までやってくれたね。