あきりんの映画生活

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「127時間」 (2010年)

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2010年 アメリカ 94分
監督;ダニー・ボイル
出演:ジェームズ・フランコ

孤独なサバイバル物語。 ★★☆

 

物語は単純明快。
腕が落岩に挟まれて動けなくなった主人公が5日後に生還するまで、を描く。
ワン・シチュエーションの典型映画である。

 

だから映画の大部分は主人公ひとりの映像。
舞台は狭い岩の隙間だけ。
そんなことでは退屈するのでは、と思ってしまうところだが、緊張感がつづくのでつい見入ってしまうのである。
それだけ主人公の行動が必死さに溢れているのだ。

 

青年アーロン(ジェームズ・フランコ)は慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンに一人でロック・クライミングに出かける。
そこは岩と砂だらけの渓谷で、彼は誰にも行く先を告げていなかった。
と、足を滑らせた表紙に岩の裂け目に滑り落ちてしまい、一緒に落下した岩に右腕を挟まれてしまう。
いかん、腕が抜けない、どうやっても動けない状態だぞ・・・。

 

これは完全に絶望的な状況である。
のしかかっている岩は300キロ以上あったようで、岩を押そうが腕を引こうが、びくともしない。
ナイフで岩を削ってみようとするが、何の足しにもならない。
食糧はなし、残っている水はペットボトルに半分ぐらい、かな。
もう、アウトとしか言えない状態である。

 

ここからカメラはひたすら岩に挟まれて身動きがとれないアーロンを映していく。
命を繋ぐために最重要となる水も少ない。
彼は自分の尿を袋に溜め、尿の味だといいながら背に腹は代えられずに飲んだりもする。

 

アーロンは持っていたビデオカメラで自分の様子を撮影する。
このまま助からないであろうと覚悟を決め、母親や知人に別れのメッセージを告げたりもする。

 

この事故の直前に、アーロンは2人の女性トレッカーと出会っている。
まさかその後にこんな事態になるとは思わずに、彼らは無邪気に天然プールで大騒ぎをしたりしたのである。
その屈託なく明るくはしゃいでいた映像が、今の孤独で絶望状態をより際立たせていた。

 

動けなくなって3日目ぐらいになると、アーロンは幻覚を見始めたりもする。
谷間を激しいスコールが襲ったりもする。
それはびしょ濡れになりながらも、貴重な水の補給でもあった。

 

(以下、終盤のネタバレ)

 

4日目、ついにアーロンは岩に挟まっている自分の右腕を切り落とそうとする。
映画を観ながら、太い腕の骨はどうするのだ? あれは切れないだろうとと思っていた。
案の定、中国製の小さなナイフでは骨を切ることは到底不可能だったのだ。
それにしても、右腕をきつく縛り血流を遮断したとはいえ、自分で自分の腕にナイフで切り込むなんて・・・。
めちゃ痛いぞ、あれは・・・。

 

そして5日目、アーロンはある決断をして右腕を切断することに成功するのである。
この場面はかなりグロい。映画感でだったらあちらこちらで悲鳴が上がりそうな映像である。
観ているだけでもこれなのだから、実際におこなったアーロンて、すごいなあ。

 

とにかくこれは実話に基づいているという事がすごい。
(エンディングに本人と、3年後に結婚した奥さんの写真が写る)
原作によれば、救助されたときにアーロンの体重は18キロも減っていたとのこと。
5日間で18キロも消耗するって・・・。
いかに過酷な状況だったかが判る。
すごい経験をして生き抜いた人が本当にいたのだな。

 

実在のアーロンは右腕を失ってからも義手をつけて登山を続けている。
そしてコロラド州に53ある4200メートル以上の山のすべてに単独登頂したとのこと。
すごい。
出かけるときは、きっと行く先を告げておいたのだろうな。