2013年 インド 133分
監督:ナラン・クマラサーミ
出演:ビジャイ・セードパティ、 サンチター・シェッティ
どたばた誘拐団。 ★★☆
それぞれの身から出た錆で失業した3人のトホホ男たち。
彼らは誘拐屋のダースと出会い、誘われるままに彼の仲間となる。
しかし、誘拐とはいってもダースの企む誘拐というのはとても覇気に乏しいしょぼくれたものだった。
主役のダースを始め、胡散臭い登場人物たちは皆なんともな小悪党。
小狡いのだが、大それた悪事などとても出来ない小物である。
誘拐にしても、そのレベルはローリスク、ローリターンでいく。数で稼ごうという小物の考え方。
その小悪党たちがブラック・ユーモア感いっぱいで、ドタバタする。
ダースの誘拐の5箇条というのをトホホ3人はたたき込まれる。
いわく、1.有名人やその子供は狙わない(大騒動になって警察が躍起になる)
2."殺す"などと脅さない(誘拐させていただくのだから怖がらせてはいけない)
3.身代金はお手頃に(相手が払ってくれなくてはなんにもならないでしょ 払う相手の身になって)
4.危ないから武器は使わない(言わずもがな)
5.失敗したらすぐ逃げる(これが一番大事なこと)
現実的というか、情けないというか、彼らの本質がよくでている。
おまけに、ダースには妄想上の彼女シェール(サンチター・シェッティ)がいるのだ。
画面にはちゃんと映っていて、お約束通りにとても美人。
しかし実際には他の人には見えない。彼女の声も聞こえない。
ダースだけに見えて、ダースだけが話が出来る彼女なのだが、トホホ3人組は、そんなきれいな彼女さんがいて羨ましいですね、と本気で言う。
人がいいのだか、やはりどこか抜けているのだか・・・。
さて彼らはひょんなことから大臣の息子であるアルマイの誘拐を依頼される。
賄賂政治を唾棄する清廉潔白な父親に比べて、この息子アルマイはぐうたらダメ息子。
超有名人の息子だから大騒ぎになるけれども、報奨金も破格なのだよ。ここは一発やるか!
ところがダースらが自分を誘拐しようとしていることを知ったアルマイは、なんということだ、一計を講じる。
おい、お前らに誘拐されてやるから、身代金は山分けしようぜ。
なんていうダメ息子だ。
ダースらはアルマイの身代金をせしめることに成功するのだが、小悪党同士、分け前の事で喧嘩を始めてしまう。
どこまで目先のことにとらわれているんだ。
ついにはアルマイのせいで皆が乗った車は大破。なんと、ダースの妄想上の彼女シャールが死んでしまう。えっ?!
妄想上の彼女って、死ぬのか・・・?
それはともかく、アルマイ誘拐事件にはターミネーターのような”犯人は逮捕するよりも殺すことだ!”をモットーとするトンデモ刑事が派遣されてくる。
怖ろしいよ。
とにかく、このあたりから物語はぐしゃぐしゃ。真面目に観ている気がしないくらいに暴走する。
(以下、ネタバレ)
なんやかやがあって結末をいうと・・・。
アルマイの真面目な父は政界を引退して。かわりにダメ息子のアルマイが大臣になる。あれ?
トホホ3人組はちゃっかりとアルマイ大臣の側近になる。あれ?
ダースは新しい仲間と誘拐業を続けており、シャールにそっくりな美女(サンチター・シェッティの2役)を本当に誘拐してしまう。おいおい。
こんな結末でいいのかい?
ゆる~いコメディだと思って観ましょう。倫理的なことは考えてはいけません。