あきりんの映画生活

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「キャラクター」 (2021年)

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2021年 日本 125分
監督:永井聡
出演:菅田将暉、 Fukase。 小栗旬、 高畑充希

サイコ・サスペンス。 ★★★

 

絵は上手いのだが、魅力的なキャラクターが描けない漫画家の卵の山城(菅田将暉)。
ああ、もう漫画家になるのはあきらめよう。
と思っていた矢先に、凄惨な一家4人皆殺しの現場に行き当たってしまう。
しかも、現場から逃走していく犯人の顔も目撃してしまう。

 

子供の頃から絵を描くのが好きだった少年少女にとって、漫画家は憧れの職業だろう。
鬼滅の刃」にせよ、「進撃の巨人」にせよ、ヒットすれば文字通りの億万長者にもなれる。
なによりも、自分の描いた漫画で何万人もの人が喜んでくれるというのは、作者冥利に尽きるだろう。
しかし現実では、漫画家になるにはそれなりの才能が必要なわけで、当たり前のことだが、憧れだけでなれるものでもない。
そんな漫画家の生活を描いた映画が「ばくもん。」だった。なかなかに大変なわけだ。

 

さて。
事件の第一発見者となった山城だったが、なぜか、犯人目撃に関しては警察に嘘をつくのだ。犯人の顔は見ていません。
えっ、どうして?
そして、自分だけが知っている犯人をキャラクターにして漫画を描くのだ。
もともと絵は上手かった山城なので、サイコパスな特異なキャラクターを得て、その漫画は大ヒットをする。
おいおい、いいのか、お前が警察に情報を提供しないから犯人は野放しだぞ。

 

それどころか、サイコパス犯人は、山城が描いた漫画そっくりの猟奇殺人事件を起こすのだ。
そして山城に接触してくる。
先生の描いた漫画の通りに殺人をしておきましたよ。完璧でしょ。
その特異な犯人のキャラクターに刺激されて、さらに漫画を描きつつづける山城。
おいおい、いくら漫画家魂に火がついたとしても、これじゃ、お前が猟奇殺人を教唆しているようなものだぞ。

 

犯人を追う真面目な刑事役に小栗旬
小栗は「罪の声」でも人情味のある刑事役をやっていた。違和感がない。
彼は山城の漫画のファンだと言い、いち早く山城の描く漫画と実際の事件の酷似に気づく。
現場で凶器を必死に捜している捜査員の目の前で、もしかしたら、と車のサンバイザーの裏から見つけてみせる
どうして凶器の隠し場所分かったんだ? ほら、この漫画に描いてあったんですよ。

 

当然のこととして警察は山城を犯人、もしくは犯人の何らかの関係者と見做す。
しかし、小栗刑事はあくまでも山城を信じてくれる。
好い役どころ。しかし、まさか途中で彼が・・・。びっくり。

 

犯人役のFukaseについてはまったく知らなかったのだが、ロックバンドの人らしい。
彼の不気味さが好い。サイコパスの雰囲気をよく出していた。

 

犯人がなぜ幸せな4人家族を狙うのか、という謎も絡む。
そしてついに、犯人を捕まえなくては、という決意をかためた山城が選んだ道はとても危険なものだった。

 

(以下、ネタバレ)


それは、犯人が4人家族の自分を襲うという漫画を発表すること。
そうすれば、漫画の通りに犯行をおこなっている犯人は、必ず自分を殺しにやってくるはず。そこを逮捕すればいい。
はたしてその作戦は上手くいくのか・・・。

 

4人家族ということの意外などんでん返しもあって、最後まで緊張感が持続する。

 

エンドロールが終わるまで席を立ってはいけません。
最後に微かなもの音が2回きこえるのです。これは?
そう、それはまさしく刃物を研ぐ音。この後に続く物語を予感させる不穏な音だった。
山城の子供は二人だったよねえ。