あきりんの映画生活

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「るろうに剣心 最終章 Beginning」 (2020年)

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2020年 日本 137分
監督:大友啓史
出演:佐藤健、 有村架純、 高橋一生、 江口洋介

悲恋もの、剣心。 ★★★☆

 

最終章の第一部「The Final」での大団円も観てしまったし、いまさら「The Beginning」を観るか?という気がしないでもなかった。
でも、やはり観てしまった。
これまでのシリーズとはまったく雰囲気の異なる「るろうに剣心」だった。

 

もう今作のおおよその物語は誰もが知っている。
幕末に長州藩の暗殺人として人斬りをしていた緋村抜刀斎(佐藤健)が雪代巴(有村架純)と出会う。
そして二人の関係が描かれ、抜刀斎が”るろうにん緋村剣心”へと変わる物語。

 

前作で雪代巴がどうなるのかは分かっているだけに、観ている者はせつない。
やがて起きる悲劇の場面に立ち会うために映画を観ている・・・。

 

さて。
冒頭、幕府の手のものに捕らえられて後ろ手にしばられた抜刀斎。いきなりのアクションを見せる。
口でくわえた刀で敵集団をあっというまに倒すのだ。
もちろん逆刃刀ではないので、血が吹き出て敵の死骸が屋敷中にころがる。
不殺の誓いをする前の人斬り抜刀斎としてのアクションなので、その激しさも並ではなかった。すごいよ。

 

しかし人斬り抜刀斎として怖れられ、桂小五郎からも頼りにされていた剣心だが、その風情はどこか寂しげである。
人々が幸せな世を作るためとはいえ、敵を殺し続けなければならないのだ。
剣心が抱く寂しさ、虚しさを寡黙な佐藤健がよくあらわしていた。
偶然を装って雪代巴は剣心に近づいてくるのだが、剣心が彼女を受け入れたのも、その寂しさのゆえであったのだろう。

 

本作はもちろんチャンバラ映画である。しかし、それ以上に本作は恋愛映画であった。
観ている者は、婚約者を殺した剣心への復讐心から巴が近づいてきたことは判っている。
しかし巴は、次第に剣心が抱えている寂しさの闇を解きほぐしてやりたいと思っていくようなのだ。
有村架純の静かな振る舞いがその情感に好く合っていた。

 

幕末の京都が舞台なので、当然のこととして新撰組が登場する。
江口洋介が扮する斎藤一が登場してくると、やはり嬉しくなる。
ああそうか、幕末の時代には齋藤と剣心は敵同士だったのだった、とあらためて気付く。
この二人の対決場面があるかと期待したのだが、残念ながらそれはなかった。

 

代わりにあったのが新撰組沖田総司村上虹郎)と剣心の一騎討ち。
新選組では土方歳三よりも強かったとされる沖田だけに、その立ち回りは迫力があった。
労咳でなければ沖田はどんな人生を歩いたのだろうと思ってしまう。
(それにしても、新選組三番隊隊長だった齋藤一は、どうして明治時代になってから警視庁で活躍できたのだろう? そう考えれば、すごい人生だ。)

 

それはともかく。
婚約者を殺した相手に復讐するためにすべてをかけたはずだったのに、いつしかその相手を守るために身を捨てた女。
そして、お主だけはどんなことがあっても斬りはしないと告げた相手を、心ならずも斬る羽目になってしまう男。
白い雪がよく似合う悲恋ものであった。

 

るろ剣」を観てきた人だったら、やはり観ておくことをお勧めします。
本作のラストが第1作の始めに繋がっていきます。