あきりんの映画生活

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「007/スカイフォール」 (2012年)

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2012年 イギリス 142分
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、 ハビエル・バルデム、 レイフ・ファインズ、 
    ジュディ・デンチ、 ナオミ・ハリス、 ベン・ウィショー

007シリーズ23作目。 ★★★☆

 

ダニエル・クレイグ・ボンドの新作「ノー・タイム・トゥ。ダイ」が公開されたので、復習をかねて3回目の観賞。
これはクレイグ・ボンドの3作目。

 

私はショーン・コネリー・ボンドの第1作からすべてリアルタイムで観てきている。
お気楽な頃のボンドも好かったが、クレイグ・ボンドになってからのリアル・アクション路線は一番のお気に入りになった。

 

今作を初めて観る前は、監督がサム・メンデスと聞いて、へえ~と思った。
なにしろアカデミー監督賞を取った 「アメリカン・ビューティ」 にしろ、タイタニック・コンビが夫婦役を演じた 「レボリューショナリー・ロード」 にしても、一見幸せそうに見える家庭の崩壊を描いた作品だった。
まさかその彼が007を撮るとは・・・。

 

今回もリアル感に溢れた肉体勝負だった。
冒頭からトルコの屋根の上のバイクでの追跡劇、列車の屋根での格闘、と、もうこれでもかと魅せてくれる。
好いねえ。
しかし、同僚のイヴ(ナオミ・ハリス)の誤射によってボンドは水中に落ちていく・・・。

 

今回の悪役シルヴァは、ハビエル・バルデムが演じている。
これはすごい。なにしろ コーエン兄弟の 「ノーカントリー」 の、あの怖ろしい殺し屋である。迫力は満点 (でも、ペネロペ・クルスの旦那なんだよねえ。美女と野獣?) 。

 

全体の物語にも荒唐無稽さはない。
敵のシルヴァは全くの個人的な恨みからMI16を恨んでいる。
そして、”ママ”である M(ジュディ・デンチ)に対する憎悪と、歪んだ愛情がからみ合っている。
なるほど、とても人間くさい動機である。
そう考えると、監督はサム・メンデスでいいわけか・・・。

 

この映画のとき、007は50周年だった。
そこで新しい雰囲気にしようというところが随所に見られる。
映画の中でも、MI16といった諜報機関が今の時代に必要か?と政府から問いなおされている。
そうなのだ、映画としての「007」も、もう時代遅れなのではないか?と、自ら問いなおしているようなところがあった。

 

配役の交代として、新しく登場したQ(ベン・ウィショー)がまるでオタクの若者だったのはちょっと意外だった。
そのQが、ペン型の爆弾? あれはアンティークさ、と言う。
おお、リアリティ志向の007だ。もうロジャー・ムーアの時代じゃなくなったんだ(苦笑)。

 

それでいて、オマージュのように、ちゃんとアストン・マーチンを登場させてくる。憎い。
かってのボンド・カーを彷彿とさせて、車体は防弾仕様、フロントには機銃が仕込んである。
これがクライマックスでは大活躍をする。

 

(ちょっとした蘊蓄)
上海でシルヴァの部下が要人を狙撃する場面がある。
そこにこっそりと売買されようとしていた名画はモディリアーニの「扇子を持つ女」だった。
実際のあの絵はパリの美術館から盗まれ、今も行方不明になったままである。
そうか、あんなところにあったんだ(笑)。

 

シルヴァの本拠地として、長崎の軍艦島がロケ地になっていた。
007で日本がロケ地になったのは、浜美枝がボンド・ガールになって姫路城で撮った作品以来ではないだろうか。

 

シルヴァに狙われたMを守るために、ボンドは自分の生地”スカイフォール”へと戻ってくる。
その地の寒々しい荒野に建つ家での激しい攻防戦が始まる。
そしてついにMは・・・。
自己否定と自己肯定がない交ぜになっているようで、少し暗くて、どこか寂しさの漂う本作だった。

 

さてエンディング。
新しいマニーペニーが登場するし (まさか彼女とは! 好いねえ)、新しい M が登場する。
この次の「スペクター」では、第1作からの仇敵が復活するわけだ。