2003年 韓国 130分
監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、 キム・サンギョン
連続殺人事件を追って。 ★★☆
80年代後半に10人の犠牲者を出した実在の連続殺人事件を基に映画化している。
「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督の2作目に当たる。
農村の排水溝から手足を縛られた若い女性の変死体が発見される。
数日後にも同様の手口の犠牲者が出る。
地元の刑事パク(ソン・ガンホ)らが捜査にあたるが、一向に有力な手掛かりが掴めない。
そこにソウル市警からソ・テユン(キム・サンギョン)が派遣されてくる。
粗野なパクと知性派のソは相性が悪い。捜査方針でもことごとく対立する。
実際に当時の韓国警察がこんな捜査をしていたのかどうかは判らないが、パクの捜査は強引そのもの。
これと目をつけた容疑者には容赦なく暴力まがいの脅しをかけて自白させようとする。
いくらなんでも、これはちょっと共感できないぞ。
比べればソの方がまだましかなあ。
そんな二人の捜査がところどころで苦いユーモアを交えて描かれる。
そしてパクは一人の容疑者に目をつける。
いささか精神薄弱気味の青年にこれといった決め手もないままに過酷な尋問をおこなう。
おいおい、いいのか。人権問題になるのではないかい。
その青年は結局はシロで、新たな目撃情報から別の青年の取り調べをおこなう。
こいつは怪しいよ。青年は不敵な笑みを浮かべて容疑を否認する。
自白を強要しようとして暴力をふるい続ける刑事たち。おいおい、いいのかよ。
ついに、被害者の衣服から採取された精液のDNA鑑定をアメリカに依頼する(韓国ではできなかったのだ)。
さあ、DNAは一致するのか。
ということで、刑事たちの捜査にはまったく共感できないままに映画は進んでいく。
しかしその暴力的な描き方は力を持っていて、見させるものを持っていた。
韓国映画史上の傑作という評価もあるようだ。
こうした当時の警察の暗部を描いたところも評価されたのだろうか。
(以下、ネタバレ)
結局犯人は判らないまま。
なんだ、事件は解決しなかったのか。スッキリしないままに映画は終わろうとする。
10数年後のパクの後日談が映る。
たまたま通りかかった最初の殺人事件現場を覗いていると、通りかかった女の子が、どうしてそんなところを見ているの?と尋ねる。
そして女の子が言う、この前も違うおじさんが同じように覗いていたよ、以前にここでやった事を思い出して久しぶりに来たんだ、と言っていたよ。
この言葉を聞いたソン・ガンホの顔がアップとなって映画は終わる。
ああ、このラストにはやられたなあ。