あきりんの映画生活

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「雨とあなたの物語」 (2021年) ほのぼの初恋物語

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2021年 韓国 117分
監督:チョ・ジンモ
出演:カン・ハヌル、 チャン・ウヒ

初恋を追って。 ★★☆

 

何事にも無気力なソウルの浪人生ヨンホ(カン・ハヌル)が主人公。
彼は小学校時代に一度だけ親切にしてくれた同級生ソヨンのことを思い出す。
釜山に転校していった彼女の住所を調べ、何となく手紙を出してみる。

 

一方、その釜山で母と一緒に古書店を営むソヒ(チャン・ウヒ)は、姉ソヨンに届いた手紙を受け取る。
重病でわずかに指が動かせるだけのソヨンのフリをして、ソヒは返事を書き、ヨンホとの文通が始まる。

 

これが物語の設定なのだが、妹が姉になりすまして手紙の返事を書き続ける、とくれば想起するのは岩井俊二監督の「ラストレター」。
あちらは2年前の映画だった。
雰囲気とかその後の展開はまったく違っていて、ちゃんと別の映画になっていた。

 

映画は小学校時代の思い出場面を別にしても、大きく3つの時代が交互に描かれている。
ヨンホが浪人時代にソヨンへの手紙を書きはじめた頃、成人して傘職人になったヨンホが会いたいと望み始める8年前、そして大晦日の夜に雨を待っている現在。
それぞれの時代のヨンホとソヒを同じ俳優が演じているので、はて、これは彼らが何歳の時の場面?
少し戸惑ったりもするのだが、ま、それはすぐに判るので、あまり問題にはならなかった。

 

その一方で、予備校時代のヨンホに好意を寄せてくるスジン(カン・ソラ)がいた。
この娘、一途で好い娘。観ていて、ヨンホよ、どうしてスジンを好きになってやれないのだ? 彼女にするなら、長く会ってもいないソヨンよりスジンの方がいいじゃん、と思ってしまう。
一度だけなら遊びになってしまうから、もう一度寝よ。・・・ああ、なんて健気な娘なんだ。
スジン、かわいそう。

 

こちらも一途なヨンホはついにソヨンに会いたいと手紙を書く。
しかし会いに来られたら自分がソヨンではないことがバレてしまうソヒは、頑なに彼の申し出を断わる。
そこでヨホンは「大晦日の夜にもし雨が降ったら、小学校の跡地で会いましょう」と提案する。
そして毎年の大晦日の夜にソヨンを待つのだが、雨は降らなかった。

 

日本よりもずっと北に位置するソウルでは、天気が悪くなれば雨ではなくて雪が降るようだ。
だから大晦日に雨が降るというのは限りなく少ない可能性だったのだ。なるほどね。
この映画は、そんな低い確率の雨を待ち望む物語だった。

 

それにしても・・・、小学校のときに1回だけふれあいがあって、それまで名前も知らなかった女の子にそんなに惚れ込む?
しかし、こんなことを言うとこの映画そのものが成り立たなくなってしまうのなあ。

 

最後に、あることが明らかになる映像が流れる。
えっ、そうだったのか。なあんだ、よかったんだ・・・。
映画を観ていてずっと引っかかっていたことが解決されていた。

 

たわいのない初な恋愛ものだった。
それほど強く残るものはないが、観ている間はなんとなくほんわりとさせられる嫌みのない映画だった。