2021年 日本 119分
監督:木村ひさし
出演:松本潤、 香川照之、 杉崎花
コミカル弁護士もの。 ★★★
最近は人気TVドラマの映画バージョンが流行っている。
ドラマファンによる一定数の集客は確保されているようなものだから、おいしい企画なのだろう。
本作も”有罪率“99.9%の壁に挑む刑事専門弁護士”のドラマとしてヒットしたようだ(未見)。
主人公は、とにかく真実を明らかにしたい、という一念で事件に挑む弁護士の深山(松本潤)。
彼の弁護士事務所のボス佐田に香川照之、そして深山に心酔している新人弁護士の河野穂乃果に杉崎花。
映画本編の前に松潤ら3人が登場してきて映画の簡単な説明をしてくれた。
おそらくTVドラマを見ていない人へのサービスなのだろう。
メインの事件は、15年前に村の祭り会場で起きた毒入り酒樽殺人事件。
(とくれば、元ネタは、ほら、あの有名な事件ですね)
主人公たちは、犯人として逮捕され、死刑を宣告されたまま獄中で亡くなった男の冤罪を晴らそうとする。
すでに犯人も死亡しているのだが、犯人の娘の名誉を回復するために再調査を始めたのだ。
見始めて、あれ、この映画ってずいぶんコミカルなんだな・・・と、いささか驚いた。
かなりのおふざけが入る。登場人物たちはボケたり、ツッコんだり。まるで漫才のようなやりとりもある。
でも不快ではなかった。わざとスベっているのではないかというようなギャグもぽんぽんと飛び出す。楽しめる。
事件の再調査もコミカルにおこなわれるのだが、その真実解明はなかなかに真面目。
事件の再現をおこなって当時の記録映像と照らし合わせたりする。
あれ、ここはおかしいぞ。どうしてこんなことが起きたのだ?
村人たちはみんなおかしい。そう、みんなおかしい。これは早い段階で映画を観ている人は誰でも思ってしまう。
これまで松本潤は単に顔のきれいなアイドルとしか思っていなかったのだが、この映画でかなり見直した。
杉崎花がコミックのまねだと称して、片手を前に突き出し「・・・デスッ!」と決めポーズを作る。
これ、ポーズこそ違え、「半沢直樹」の香川照之のまね?
その香川照之はしばらく前までは腹黒い悪役イメージだったのだが、本作といい、先日のTVドラマ「日本沈没」の学者役といい、すっかり善人になっているではないか!
真犯人は意外な人物だった。
なるほど、真実が明かされることによって新たに傷つく人も出てくるわけだ。
しかし、冤罪で死刑がおこなわれ、その家族は苦しめられてきた。
罪人たちの罪は決して軽くはないだろう。
ちょっと現実離れした真実だったが、まあ、そこはエンタメ映画だから許してしまおう。
そういえば、「HERO」というキムタクが検事役のドラマがあった。
松潤の弁護士とキムタクの検事が争う、なんてドラマを作ってはどうだろうか。受けるぞ。
でも、二人それぞれに華を持たせなければならないのは難しい。それに、もしTV局が違っていれば端から無理な企画か。
TVドラマを見ていた人ならば(年末には特番もあったらしい)、かなり楽しめる映画ではないだろうか。
それらを未見の私でも充分に楽しめた。