あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「暗殺の詩」 (1973年) 70年代のフレンチ・サスペンス

f:id:akirin2274:20220218210120j:plain

1973年 フランス 99分
監督:ロベール・アンリコ
出演:ジャン・ルイ・トランティニヤン、 フィリップ・ノワレ、 マルレーヌ・ジョベール

70年代のサスペンスもの。 ★★☆

 

あの「冒険者たち」を撮ったロベール・アンリコ監督作ということで鑑賞。
映画全体の雰囲気も、70年代のいかにもフランス映画というものだった。
出演者たちも食指をそそる顔ぶれで、あの頃の映画は好かったなあ・・・。。

 

冒頭、薄暗い施設に監禁されていた男デビッド(ジャン・ルイ・トランティニヤン)が看守を殺して逃亡する。
男は山村に逃げ込み、偶然知り合った芸術家夫婦(フィリップ・ノワレ、マルレーヌ・ジョベール)の家に匿ってもらう。
ラジオや新聞では、精神病院から殺人犯が逃亡したというニュースが流されているのだが・・・。

 

ジャン・ルイ・トランティニヤンといえば「男と女」である。
一見すると優男なのだが、見方によっては油断のならないものを隠し持っているような目力もある。
寡黙な雰囲気も相まって、挙動不審な謎の男を演じると、かなりはまる。

 

そして、そばかすだらけのマルレーヌ・ジョベール。
雨の訪問者」でのヒロイン役が印象的だった。しかしあの映画以外では観たことがなかった。
(調べてみたら、ゴダール監督の「男性・女性」に出ていた。でも、どこにいた?)
ボンド・ガールもつとめたエヴァ・グリ-ンのお母さんだったことはかなり後になって知った。

 

さて。デビッドと名乗った男は、国家機密を知ってしまったために政府に追われているのだと言う。
それ、本当?
夫トマスは何故かこの男を信頼し、彼をスペインに逃がしてやろうとまでする。
一方で妻は男の言うことを疑い、家から出て行ってもらおうとする。

 

このあたり、デビッドの言うことは本当なのか、それとも彼は精神異常者で、彼の話はすべて妄想なのか、観ている者も戸惑う。
トランティニヤンの持つ雰囲気が、本当に善人とも実は精神病者とも見えるところが巧みな進行となっている。

 

デビッドとトマス夫妻、登場人物はほとんどこの3人だけ。
それにしても、夫がかなりの危険を冒してまでデビッドを助けようとする理由がよく分からなかった。
そしてデビッドと妻はトマスがいない間に関係も持ってしまう。どうしてそうなる?
そのうえ、一緒に寝たという告白を聞いたトマスは、男と女だからそんなこともあるさ、と事もなげに答える。えっ! そんなことで済ませちゃっていいの?

 

(以下、ネタバレ)

 

最後までデビッドは本当は精神異常者なのだろうなと思いながら観ていた。
隠れ家を突き止めてやってきた不気味な男たちがトマス夫妻を容赦なく撃ち殺す場面で、やっと、ああデビッドは本当に国家機密を知ったために精神病院に監禁されていたんだと判った。

 

原題は「秘密」。邦題はちょっと気取りすぎているが、この原題そのままも微妙だな。
約50年前のフランス映画。当時の香りが漂ってきます。雰囲気は好いです。
しかし狙い所はよく判らない映画でした。