2008年 ドイツ 107分
監督:ジル・ブルドス
出演:ロマン・デュリス、 ジョン・マルコビッチ、 エバンジェリン・リリー
死期が判ってしまうということは・・・。 ★★★
幼い頃に臨死体験をしたネイサン(ロマン・デュリス)は弁護士になっていた。
しかし息子を病で失ってからは心を閉ざし、妻(エバンジェリン・リリー)とも離れて暮らしていた。
そんな彼の前に、ジョゼフという医師(ジョン・マルコビッチ)が現われ、自分は人の死期が分かると告げる。
えっ、嘘でしょ。
駅のホームでジョゼフは、もうじきあの男は死ぬ、とネイサンに予言してみせる。
そして本当にその男は死んでしまった。
ありゃ、本当だ・・・。
そう、本当なのだよ、とジョセフが言う。
私には死期の近づいた人が光って見えるのだ。私はそれを相手に伝えるメッセンジャーなのだ。
私の使命は、死ぬ運命の人が心安らかにその時を迎えられるようにしてあげることなのだ。
人はもうじき自分が死ぬことが判ったらどうするだろうか。
もちろん自棄になる人いるだろうが、大方の人は生きているあいだにしておきたいことは何だろう、と考えるのではないだろうか。
この映画の好かった点は、このことを観ている人にも考えさせるところにあった。
自分だったら何をしておきたいだろうか・・・?
ネイサンは、今は離ればなれに暮らしている妻子との絆を取り戻したいと考えたのだ。
意を決して妻に会いに行ったネイサンが見たものは・・・。
(以下、完全ネタバレ 未見の人はご注意!)
なんとネイサンは、今も愛している妻が光っていることを見てしまう。
そうなのだ、まもなく自分は死ぬのだと思い込んでいたネイサンだったが、実は彼自身はメッセンジャーだったのだ。
彼が死ぬのではなく、死ぬ人が判ってしまうのだった。
そして彼は妻がまもなく死ぬことを知ってしまったのだ。
ジョン・マルコビッチのどこを見つめているのか判らないような目力は好かった。
それに死期が判ってしまったらどうするか?という問いも好かった。
しかし、しかしである。
この映画のキモは、死ぬ運命にあったのはネイサンではなかった、というところにあるのだが、観ている人が誰でも思ってしまうツッコミがある。
それは、ジョゼフよ、最初からちゃんとネイサンに話してやれよ、というもの。
どう考えたって、観ている人にミス・リーディングさせようとしているとしか思えないぞ。
見終わったあとに、そこがどうしても引っかかってしまった。残念。