1963年 アメリカ 125分
監督:ブレイク・エドワーズ
出演:デビッド・ニーブン、 ピーター・セラーズ、 クラウディア・カルディナーレ
往年のコメディ映画。 ★★
ブレイク・エドワーズ監督といえば「ティファニーで朝食を」であり「酒とバラの日々」である。
その監督がなんと8作まで作った「ピンク・パンサー」シリーズの、本作が第1作である。
それだけ作られ続けたということは、コメディ映画の大傑作との評価を受けているということだろう。
しかし、観てみたら、あれ?あまり面白くないなあ。
主役は巧妙な宝石泥棒ファントム(デビッド・ニーブン)と、それを追いかけるドジなクルーゾー警部(ピーター・セラーズ)の二人。
この二人のドタバタとしたやりとりで見せるコメディ。
言ってみれば、トムとジェリーの人間版。
物語としては、某国王女ドーラ姫(クラウディア・カルディナーレ)が所有する巨大な宝石“ピンクの豹”をめぐる騒動。
舞台はアルプスのリゾート・スキー場。
そこで有閑マダムたちのパーティはあるわ、浮ついた優男が女性にちょっかいを出すわ、要するに甘くふわふわとした物語。
そんなリゾート地で貴族然としたファントムと、居合わせたクルーゾーがあんなことをしたり、こんなことをしたり。
おまけに美人のクルーゾーの奥さんはファントムの仲間なのだ。
なんだ、こりゃ。どんな夫婦関係だったのだ?
音楽はヘンリー・マンシーニ。テーマ曲「ピンク・パンサー」はあまりに有名だが、パーティ席上でフラン・ジェフリーという歌手が歌う曲「今宵を楽しく」がとにかくよかった。
ほかには見所の少ない映画だったが、この場面、この曲で☆を増やした。
ぜひともこの歌を聞いて欲しいということで、初めてYou tubeを貼り付けてみる。
https://www.youtube.com/watch?v=gjeW3zBRvBM
好きな女優であるカルディナーレはきれいだったのだが、その役柄は彼女にはあまり合っているようには思えなかった。
カルディナーレといえば、「刑事」であり「鞄を持った女」である。私にとっては、不遇でありながら強く生きる女のイメージである。
そんなカルディナーレが王女役ではなあ・・・。
同じ年の映画「ブーベの恋人」の彼女の方が何倍も好かったぞ。
結局、映画としてはまったくしゃんとしたところのないものだった。
コメディ要素の感性が時代と共に変化してしまったせいだろうか。
それとも私の感性が鈍ってきている? どちらにしても残念。