あきりんの映画生活

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「オペレーション・ミンスミート」 (2022年) 偽の指令書でナチを騙せ

2022年 イギリス 128分
監督:ジョン・マッデン
出演:コリン・ファース、 ケリー・マクドナルド、 マシュー・マクファディン 

第二次大戦の秘話。 ★★★☆

 

1943年、連合軍は劣勢を強いられていた。
そこでイギリス諜報部MI5は、攻略を目指しているイタリア・シチリアのドイツ軍の防備を手薄にするための奇想天外な作戦を考える。
イギリス軍はギリシャ上陸を計画している、という偽情報をドイツに信じ込ませたいぞ。
よし、そのために、その偽文書を持った死体を地中海に流そう。

 

”オペレーション・ミンスミート”と命名されたこの計画は実際におこなわれたとのこと。
事実は小説より奇なり・・・。
しかもこの計画の発案には、あのイアン・フレミング(彼はMI5に勤務していた経歴がある)が加わっていたとのこと。
へえ~。
映画の副題は「ナチを欺いた死体」。なんや、そのまんまやんか(笑)。

 

計画遂行の中心になるのがモンタギュー(コリン・ファース)と、同僚のチャムリー(マシュー・マクファディン)。
二人の手伝いをするのが美人で寡婦ジーン(ケリー・マクドナルド)。
モンターギューとジーンはお互いに憎からず思う仲にもなっていくぞ。

 

とにかく死体が持っている文書をヒトラーに本物と思わせなくてはならない。
そのための設定づくりが面白い。もうオタクが趣味でやっているのではないかと思えてしまうほど。
まずは溺死に適した死体を見つけなくてはならない。その兵士に名前を付け、恋人や生い立ちを作りあげる。
偽情報書類と一緒に、その恋人からの手紙や恋人の写真もねつ造する。
こだわるなあ。

 

途中では、ジーンを間にしたモンタギューとチャムリーの恋のさや当てがあったり。
アメリカに避難したユダヤ人だったらしいモンターギューの妻の話とか、共産主義者の疑いをもたれている彼の弟の話とか。
そうしたエピソ-ドによって物語に陰翳が与えられていた。

 

さあ、いよいよ作戦実行の時がきた。できる限りの工作はしたが、上手くいくのだろうか。
死体と、死体に持たせた偽文書がヒトラーに届いてくれなくては、そしてその内容を信じてくれなくては。頼むぞ。
ここまでの準備はおこなったが、死体を海に放り込んでからあとはその後の経過を見守ることしかできない。


死体は中立国のスペイン海岸に流れつくように潜水艦から放す。
そしてスペインにいるドイツ人スパイに、なんとかして偽文書を見させてその内容をベルリンに報告させなくてはならない。
スペインにはイギリス諜報部の二重スパイや、三重スパイなんてももいる。
諜報戦てすごいものだ。奥が深い(?)。感心してしまう。

 

ということで、戦争映画だが戦闘場面はまったくあらわれない映画。
なんとかして相手を騙そうとする映画。

 

しかし、ドイツはドイツで偽文書に騙されたふりをしてこちらの裏をかくかもしれない。
もし、そうなったらシチリアに侵攻しようとしたイギリス軍は全滅だ。
はたしてドイツはあの偽文書をヒトラーに見せてくれるのか? そしてヒトラーはそれを信じてくれるのか?
大勢の命がかかった一大騙し作戦だったのだ。

 

その後の連合軍の勝利については、歴史上の事実として判っているわけだ。
ちゃんとイギリス軍はシチリアに上陸してその地を制圧したのだ。
シチリア上陸作戦が成功したとの結果が打信されてきた場面は、観ている者も好かったねと言いたくなった。

 

頭脳戦の面白さを堪能する映画でした。