2022年 日本 134分
監督:佐藤信介
出演:山崎賢人、 清野菜名、 橋本環奈、 吉沢亮、
春秋戦国時代の戦争史劇。 ★★☆
原泰久の同名漫画は文句なしに面白い。
映画の前作は、戦災孤児の信(山崎賢人)が、弟の謀反で逃亡していたえい政(後の秦の始皇帝、吉沢亮)を助けて王位を奪還するところまでだった。
今回はその続き。
副題は「遙かなる大地へ」。その通りに、今回は大平原での大戦闘ものだった。
秦国へ攻め込んできた魏との戦いが始まる。
信は最弱と馬鹿にされた伍(五人組)の一員として参戦する。
戦場は二つの丘がある蛇甘平原。丘を占領した側が圧倒的に有利になるぞ。
主人公の信は、とにかく戦で手柄を立てて大将軍になるのが夢。
そして映画は、この丘の攻防をめぐる局地戦に徹している。
主人公の目的もわかりやすいし、戦いの目的もわかりやすい。
あとは映像でそれをいかに面白く見せてくれるか、ということだが、これは迫力のあるものとなっていて成功していた。
どこまでが実写でどこからはCGを加えているのかは判らなかったが、大群がぶつかり合う映像はたいしたもの。
歩兵、そして騎馬の大軍が闘い、そこに敵の圧倒的な破壊力を持つ戦車軍団もあらわれる。
この戦車というのは馬に引かせた台車なのだが、複数名が乗っていて弓も射れば槍攻撃もしてくる。
車輪には長い刃が取り付けられていて、近づけない。
こりゃ、ヤバいよ。
それにコミック特有のユニークな登場人物が変化をつけてくれる。
今作から登場するのが謎の少女の羌かい(清野菜名)。
特徴のある模様が描かれた頭巾をかぶっていて、両手を広げた姿勢で走ったり闘ったりするのだが、彼女のめちゃくちゃの強さが痛快である。
ただし、闘いぶりがすごいので一定時間以上は呼吸がつづかないという弱点も持っているところは巧みな設定である。
羌かいのファンは多いよね。
今回は登場場面は少なかったが河了貂もユニーク。
妙な被り物をしている山の民で、実は女の子なのだが信がそのことに気づいていないというところが面白い。
演じているのは橋本環奈で、へえ、こんな可愛いひょうきんな子がいるんだと、私は前作で初めて彼女を知ったのだった(汗)。
原作のファンであれば、大沢たかお扮する王騎将軍が最後に登場するのは嬉しいところ。
個人的な問題としては、王・えい政を演じた吉沢亮。
彼が悪いわけではないのだが、どうしてもアイリス・オオヤマのCMの彼が浮かんできてしまって、真面目な王様に見えなくなってしまっていた(苦笑)。
何も考えることもなく楽しめるアクションものだった。
欠点を言うならば、前作もそうだったのだが、物語があまりにも原作に忠実なこと。
コミック場面を実写に置き換えただけじゃないか、とも思えてしまうのだ。
贅沢な不満かな。