2022年 日本 126分
監督:デビッド・リーチ
出演:ブラッド・ピット、 アーロン・テイラー=ジョンソン、 真田広之
ぶっ飛び列車内アクションもの。 ★★★☆
原作は伊坂幸太郎の殺し屋シリーズのひとつ、「マリアビートル」。
登場人物がみんな殺し屋というところがユニークで、人を食ったユーモア感覚があるところが伊坂らしいシリーズ。
さてこれをどんな風に映画化したのだろう?
設定としては東京から京都へ向かう超高速弾丸列車(新幹線ではない! 念のため)内でくり広げられる殺し屋たちの乱闘劇。
主人公はちょっと気のよさそうな殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)。
ブラピの魅力満載の映画となっていた。
その彼がマリアから請けおったミッションは、弾丸列車内でブリーフケースを盗んで次の駅で降りる、というもの。
単純明快ね、簡単な仕事だなあ。ほいほいと片付けてしまいましょ。
のはずだったのに、なぜか次々にあらわれる殺し屋たちと戦う羽目に。
どうしてこんなことに?
黒人と白人の双子(?)の殺し屋や、ぶりっ子のような少女殺し屋、などなど。
狭い列車内での乱闘は迫力満点。
おまけに、ちらほらと乗っている一般乗客には気づかれないように戦うというコミカルな側面もみせてくれる。
それにこの映画のもうひとつの見どころは、これ、日本?というずれ具合。
冒頭の東京駅からして、おお、おお、と嬉しくなるような異界の風景がひろがる。
外人が考える日本て、どこかチャイニーズ風味? 日本らしさが微妙にずれているところが観ていて楽しい。
それに、この弾丸列車(再度断っておくが、形が似ていても新幹線じゃないよ 笑)は夜中も走り続ける。
夜が明けてもまだ終点の京都へ着かない。東京~京都間って遠かったんだ!
入り乱れる殺し屋たちの中ではブラピに次ぐ位置を占めていた双子(?)の果物殺し屋に肩入れしてしまっていた。
特に黒人のレモンは愛すべきキャラクターだった。
最後においしい所を見事にかっさらって行ったし、ね。
サンドラ・ブロックが友情出演していると聞いていたのだが(サンドラの映画「ザ・ロストシティ」にブラピが出たお礼らしい)、はて、どこに?
と思っていたら、ああ、そんなところにいたのか。
格好いい車で颯爽と画面に登場してきたのに、笑わせてくれるねえ。
伊坂幸太郎らしく、最後まできっちりと物語の帳尻を合わせてきていた。
そして同じ殺し屋シリーズの映画化作品「グラスホッパー」に比べると、格段にハリウッド製らしい派手なものになっていた。
もちろん、そのぶっ飛びアクションを楽しむ映画なのだが、伊坂の作品の底に流れているどこか切ない情緒といったものは皆無だった。
まあ、それは無い物ねだりというものだろう。
(おせっかい)
私は字幕版で観たのだが、始めのあたりは状況を理解するために割と多めの会話(字幕)に気を取られる。
せっかく面白い東京の街や駅の映像が出ているので、そちらを堪能するためには吹き替え版の方がよいかもしれません。