あきりんの映画生活

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「アオラレ」 (2020年) あおり運転、ここまでやる?

2020年 アメリカ 90分
監督:デリック・ボルテ
出演:ラッセル・クロウ、 カレン・ピストリアス

あおり運転のサイコパス野郎。 ★★★

 

今や社会問題となっているあおり運転。
この映画のキャッチコピーは「これが、あおり運転の最終形態」。
なに、最終形態とな。それでは今後のこともあるし、観ておかなくては。

 

息子を学校へ送る途中のレイチェル(カレン・ピストリアス)は、信号が青になったのに発進しない車にイライラして警笛を鳴らす。
なんでもないことだと思ったのに、これが一大事態を引き起こしていく。
その後の口論もあって、相手の車は執拗にレイチェルの車を追いかけてくる。
えっ、あんなことぐらいで、どうしてこんなひどいことをするの?

 

警笛を鳴らしただけで相手の怒りをかって大変な事態になっていく映画といえば、そう、あの大傑作「激突!」があった。
あの映画と本作が決定的に違うのは、相手の扱いである。
「激突!」の怖ろしさは、追いかけてくる大型トラックのその行為になんの説明も与えられていないところにあった。
理不尽なのである。ただただ怖ろしい、という感じだった。

 

本作では、冒頭で相手であるトムの置かれている状況や心理状態も説明されている。
こうして相手の顔かたちも明らかにされている以上は、怖さは彼の意図的の行為のすさまじさからもたらされることになる。
その点ではラッセル・クロウの演技はさすがの迫力であった。
こりゃ、本当に恐いおっさんだよ。キレたおっさんだよ。

 

まさかそんなことまではしないだろうと思っていたのに、トムは怒りにまかせて車をぶつけてくる。
えっ、本当に車をぶつけてくるの?
やっとのことで助けてくれそうな人がいたのに、まさかそんなことまではしないだろうと思ったのに、えっ、怒り続けるトムは・・・。
そんなことまでしてしまって、この後どうするの? 警察沙汰になるわよ。

 

レイチェルも必ずしも品行方正の母親ではないところが、物語にリアル感を与えている。
だいたいが、お前が寝坊しなければこんな事態にはならなかったのだよ。
そんな母親なのに息子は健気だな。

 

とにかくトムの際限ない怒りは歯止めがきかなくなっている。
レイチェルに向けられた怒りの行為は、もう完全に常軌を逸している。
醜く肥満体となったラッセル・クロウが本当に怖ろしいおっさんになっている。
どうしたら彼の怒りを収めることができるの? 私はどうしたらいいの?

 

原題は「Unhinge(錯乱させる)」。なんか、ちょっと違うような気もするのだが・・・。
とにかく、90分という短めの尺で、怒濤のような展開だった。
観て損はしません。