あきりんの映画生活

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「ヴォイジャー」 (2021年) 宇宙船の中が世界のすべて!

2021年 アメリカ 108分
監督:ニール・バーガー
出演:タイ・シェリダン、 リリー=ローズ・デップ、 コリン・ファレル

未知の星へ向かう宇宙船。 ★★☆

 

近未来、地球は環境変化による滅亡が予想されていた。
そこで居住可能な惑星への探査隊派遣計画が遂行されることになる。
航行期間は86年間。訓練を受けた30人の子供たちが乗り組み、船内で成長して子孫を残し、彼らの孫が惑星に到達するという気の遠くなるような計画。
この映画は、その宇宙船の中での彼らの人間ドラマ。

 

長い年月を宇宙船の中で過ごす映画としては「アニアーラ」があった。
さらにこの手の映画の草分けとしては、1963年の「イカリエXB1」があった。
死ぬまで宇宙船の中で暮らすとなれば、閉鎖された空間、限られた人間関係が、世界のすべてとなるわけだ。
(中には、目的地に着くまで長い冷凍冬眠状態になるという映画もあった。しかし、それはまた全く別の物語設定だな。)

 

子どもたちはただ一人の大人・教官のリチャード(コリン・ファレル)に従順に従い、航行は順調だった。
そして10年の時が流れる。

 

年月を経て子ども達が成長すれば、性欲、生殖の問題が生じるが、どうするのだろうと思っていた。
すると、なるほど、そういうことになっていたのか。

 

実は、彼らは人間の性欲や食欲といった本能的な欲望を抑制する薬を飲まされていたのだ。
そのことを知ったクリストファー(タイ・シェリダン)とザックは薬の服用を拒否する。
すると、それまでの宇宙船内の統制は崩壊し、主導権争いなどが始まっていく。

 

舞台を宇宙船内部に限定して、登場人物をここからはどこにも行けない状況にしての(コリン・ファレルは事故で死ぬ)、そこでの人間ドラマという感じだった。
権力争いとなれば、多数派工作がおこなわれる。

 

そして、武力による他者の制圧は当然のこととして生じてくる。
さらに、潜入したエイリアンが誰かの体内に潜んでいるとの扇動をして、いわゆる”魔女狩り”まで起きる。
閉鎖空間で抑制が取れた人間て、こんなものなのか。

 

ヒロイン役のリリー・ローズ・デップは初めて観たのだが、目のきれいな女優さんだなという印象だった。
あとで知ったのだが、彼女はジョニー・デップの娘さんだった。
なるほど、そう言われてみるとあの目元はジョニデだったのか。

 

宇宙で冒険をするようなSFものではなく、基本は人間ドラマだった。
ただ、似たような設定の映画はこれまでにもいくつかあったので、それほどの目新しさはなかったな。