あきりんの映画生活

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「オートマタ」 (2013年) お前たちは何を考えているんだ?

2013年 スペイン 109分
監督:ガイ・イバニェス
出演:アントニオ・バンデラス

ロボットと共存するディストピア。 ★★

 

舞台は人類が存亡の危機に瀕している近未来。
人類を助けるために、人工知能を搭載したロボットのオートマタが活躍している。
スキンヘッドのジャック(アントニオ・バンデラス)は、そんなオートマタの管理技術者だった。

 

人間とロボットが共存するためには、人工知能を人間の都合のいいように制御しておかなくてはならない。
そんなもので有名なものと云えば、アイザック・アシモフの「ロボット工学の三原則」だろう。
小説「我はロボット」で提示されて以来、ロボットものは大なり小なりそのアイディの影響を受けているのではないだろうか。

 

本作でも、オートマタにはふたつのルールが課せられていた。
それは、「生命体に危害を加えてはいけない」「自身で修理・修繕をしてはいけない」。
あくまでも人間のためのオートマタであって、勝手に進化してもらっては困るのだ。
しかし、AIは知らない間に人間の思惑を越えて行動しはじめるのだよ。

 

太陽風の増加により砂漠化が進んでいる地球の光景は見事だった。
ブレードランナー」で登場して以来しばしば見られるじめじめした湿気のあるディストピアではなく、乾ききった荒廃風景である。

 

主役のアントニオ・バンデラス。贔屓と言うほどではないのだが、彼が出ていると、つい観てしまう。
あの何ともいえない”濃さ”が好いのかもしれない。
彼が出ているだけで、映画に何となくコクが加わるような気もする(なにせ、濃いからねえ)。

 

しかし、映画全般にはどうも既視感が強かった。
オートマタの造形はどこかで見たようなものだった。これ、スターウォーズあたりの敵ロボットにこんなのいなかったけ?
オートマタとアンドロイドの違いはよく知らないのだが、こういったものの造形としては、顔面の半分だけが人間風の「エクス・マキナ」のアリシア・ビカンダが好かったな。

 

肝心の物語も、AIが人間の思惑をこえて行動し始める、というもので、う~ん、どこかで観たような流れだな。
古くは「2001年宇宙の旅」のハルがいたものな。
さらには、オートマタが自立した思考(それは意思と言える?)ばかりか、まるで感情までも有するかのようになっていく。

 

映画では、クリアというオートマタだけは女性のフェイスマスクを付けていて、観る者も感情移入しやすいようになっていた。
これは上手いやり方だった。

 

ということで(最後にまで触れてしまうと)、自立し始めたAIは人間世界からは去って行くという結末だった。
人間社会とは別の、自己修復して、おそらくは自己複製もするオートマタの社会ができるのだろう。