あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「エブリシング・エブリウェア・オール・アト・ワンス」 (2022年) この鹿馬鹿しさはなんだ?

2022年 アメリカ 139分 
監督:ダニエル・クワンダニエル・シャイナート
出演:ミシェル・ヨー、 キー・ホイ・クァン

おふざけSFアクション。 ★★

カンフー・アクションとマルチバースの融合映画として、かなり大々的に宣伝されていた。略称”エヴ・エヴ”。
ミシェル・ヨーも還暦近いはずだが頑張っているということなので、少なからぬ期待を抱いて鑑賞。

 

と、・・・あれ? なんだ、これ?

 

あらすじとしては、実生活では家庭も仕事も大変なコインランドリー店経営のエヴリン(ミシェル・ヨー)が、マルチバースの世界に跳び込み、究極の悪ボスと対決する、というもの。
しきりに最近はマルチバースと言われているが、要するに昔から多次元宇宙とか平行宇宙とか言っていた奴。
この宇宙には無数の同じような世界があって、ある時点で異なる選択をした自分がそこでは存在している、というもの。

 

まあ、それはいいのだけれども、どうも全体が薄っぺらい。
笑いをとってやろうというおふざけが、どうにも下品なのだ。
(おふざけに上品も下品もあるものか、という声が聞こえそうだが、私のなかではあるのだよ。
たとえば、ビリー・ワイルダーなんて上品そのもの。
ハンガリー映画の「タクシデルミア」なんて、エロ・グロ・ナンセンスの塊みたいだったが、悪くなかった)

 

この映画、たとえば、馬鹿馬鹿しいことをあえてするとエネルギーが充填されてマルチバースへ跳べる、という設定だった。
それ自体は悪くない。そんなノリもあるだろう。
その馬鹿馬鹿しいことというのが、左右の靴を取り換えて履く、このあたりは(平凡だけれど)いいよ。
しかし、肛門にディルドを挿入する、なんてのになると、もう、ついていけないなあ。

 

生き物が発生せずに岩だらけの世界になってしまったマルチバースの世界の一つ、なんてのは好かった。
しかし、敵ボスが武器代わりに巨大ディルドを振り回して襲ってきたり、指がソーセージになっている世界なんて、小学生(の男子)ぐらいしか喜ばないレベルのおふざけだろう。

 

すっちゃかめっちゃかとやってきたあげくに、家族愛に結末を持っていくところも、なんだかなあ。
こうしておけば、みんな納得するんじゃないかな、という意図が透けて見えるぞ。

 

エヴリンの旦那役にキー・ホイ・クァン
かつての「インディ・ジョーンズ」第2作でのインディの相棒だった中国人少年役だった彼がすっかり壮年になっていた。
なんとなくジャッキー・チェンに似ているなと思ったのは私だけ?

 

それにしても、どうしてこれがアカデミー賞の候補になっているんだ?

おふざけや下品ネタは決して嫌いではないのだが、この映画は駄目だった。
好きなミッシェル・ヨーは頑張っていたが、まったく面白くなかったぞ(汗)。

 

(追記)
この記事を書いた後に、本当にアカデミー賞を獲ってしまったよ、それも7部門も・・・。
私に見る眼がないのだろうか? 涙!