あきりんの映画生活

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「深夜食堂」 (2015年) できるものだったら、作るよ

2015年 119分 日本 
監督:松岡錠司
出演:小林薫、 高岡早紀、 多部未華子、 筒井道隆

ほのぼのドラマの劇場版。 ★★★☆

 

おおもとの原作コミックは読んだことがないのだが、TVドラマは何話か見たことがある。
ほわ~っとした人情ドラマで、大げさなものが何もないところが好い雰囲気だった。
ということで劇場版を観てみた。

 

舞台は繁華街の路地裏にある深夜だけ営業する食堂「めしや」。
マスター(小林薫)のオープニングの独白は、「メニューは豚汁定食だけ、あとは食べたいものを言ってくれればできるものは作るよ。客が来るのかって。これが来るんだよなあ。人は深夜食堂って呼んでいるよ」
この台詞を聞くと、安心して観ることができる。

 

ドラマ版を知っている人なら、あの淡々とした”ちょっと好い話”をどうやって映画にしたのだろう?と思ってしまうだろう。盛り上がりなんか作れないぞ・・・。
ということで、映画は3話のオムニバスとなっていた。なるほど。

 

オープニングで登場するタコさんウインナー好きのやくざの松重豊や、ところどころで顔を出すお茶漬けシスターズは、TVドラマを観ていた者には嬉しい。
しかしほんわかドラマだから、ドラマを観ていなくてもなんとなく入り込んでしまえる。
そういえば、常連客の一人を演じている不破万作って、小林薫と同じ状況劇場出身だったな。

 

(余談)
私は状況劇場が好きで紅テントに何度も行っていた。
主役をしていた根津甚八がTVに引き抜かれて去ったあとの主役となったのが小林薫だった。
状況劇場では芝居の最後に唐十郎が出演者を一人ひとり紹介するのだが、「新人、小林薫っ!」と紹介されて少しはにかんだような青年が挨拶した姿はよく覚えている。

 

閑話休題。最初は「ナポリタン」。
パトロンが急死して、遺産の分け前をもらいそこねたオメカケさん(高岡早紀)の話。
彼女はナポリタンは小さい頃のごちそうだったと話す。
そして深夜食堂で知り合った若いはじめくん(柄本時生)と懇ろになっていき・・・。

 

次が「とろろご飯」。これが尺も長く、一番のメインとなっていた。
新潟から東京に流れ着いたみちる(多部未華子)。ホームレス状態だったのだが、見かねたマスターが住み込みで臨時バイトとして雇う。
この多部未華子が好演。マスターや常連客とうち解けていく様がなんとも心地よい。
料亭に仕事先が見つかったみちるが出ていく時に、マスターが風鈴を譲り受けるのもなんだかいいなあ。

 

最後が「カレーライス」。
東日本大震災で被災した謙三(筒井道隆)は、ボランティアの一人だったあけみに惚れて東京まで追いかけてくる。
そのあけみにはボランティアに打ち込む彼女の事情があり、謙三にもあけみにすがりつきたい事情があった。

 

エンディングでは、師走の夜に集まっている常連客のもとにみちるが炊き合わせを作って持ってくる。
マスターはお礼にと彼女に好物のとろろご飯をふるまう。好いねえ。

 

このドラマ、オープニングで夜の新宿の町を流し撮りした映像が流れる。
そこに主題歌の「思いで」が重なる。
東京に住む人の大半は上京者である。深夜食堂は、そんな各地からやってきた人がかすかな繋がりを求める場所なのだろう。

 

ゆったりとした心地よさ、それでいて切なさがある、それがこの映画(TVドラマも)の信条だろう。
TVドラマが好きだった人なら期待していたとおりの雰囲気で、満足してみることができる。
続編も作られている。機会があったら観てみようかな。
TVドラマ版では「バターライス」が好きだった。