2024年 122分 アメリカ
監督:リー・アイザック・チョン
出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ、 グレン・パウエル
巨大竜巻もの。 ★★☆
30年近く前の映画に「ツイスター」というのがあった。
ヒロイン役はヘレン・ハントで、竜巻を追う観測チームの物語だった。
ヤン・デ・ボン監督らしい豪快な竜巻の映像は、当時の技術を考えれば大したものだった。
本作もやはり竜巻を追う人たちの物語。
可能な限り竜巻に近づき、予測、追跡、観測をして解析する。そして災害をできるだけ防ごうとする。
主役は竜巻の予測に関しては天才的な能力を持っているケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)。
しかし彼女は、学生時代には観測に出かけた竜巻に襲われて仲間や恋人を失うという過去も抱えていた。
まれにしか竜巻が発生しない日本では、どこかで発せすれば全国ニュースとなるほど。
しかしアメリカの竜巻事情はそんなものではないのだ。
映画の舞台となったオクラホマなんて毎日のように巨大竜巻が発生している。
ケイトたちの観測チームも竜巻の発生しそうな地点に集結する。
驚くのは、アメリカにはミーハー的な竜巻の追いかけがいること。
そしてケイトたちの(真面目な)観測チームと張り合うのは、マスコミで騒がれている竜巻追跡屋のタイラー(グレン・パウエル)のチーム。
彼らはタイラーの似顔絵がプリントされたTシャツまで、竜巻チェイサーのグッズとして販売したりしているのだ。
ふざけんじゃないわよ、あんたたちと違ってこちらは竜巻被害を少なくするために真面目に取り組んでいるんだからね。
30年前の映画「ツイスター」では、竜巻の中に観測機器をばらまくという試みがハイライトだった。
今作では、それをさらに一歩進めて、竜巻の中に暴風を中和してしまう薬剤をばらまこうとする。
しかしそのためには、竜巻直下まで近づかなくてはならないぞ。
果たしてその試みは成功するのか。
3台の観測機器を3方向に配して竜巻を3次元で捉えようとするのにはなるほどと思った。
その3台のコードネームが”案山子”だったり”ライオン”だったりする。
もちろんこれは、ラストで竜巻に吹きあげられる「オズの魔法使い」へのオマージュだ。洒落ているね。
そもそもが竜巻の中に観測機器をばらまく装置の名前が”ドロシー”だった。
本作の竜巻の映像はものすごい。
吹き飛ばされないように、観ているこちらも思わず足を踏ん張ってしまうほど(というのは冗談だが・・・)。
物語としては、真面目な観測チームだと思っていたチームが実は竜巻被害者の土地転がしを企む悪徳業者の出資を受けていたり、嫌みな奴だと思っていた竜巻チェイサーたちが真剣なよい奴だったことが判ってきたり。
で、ケイトはタイラーと協力して竜巻の勢いを軽減する薬剤散布を敢行する。
物語としては想像の範囲内のものではあった。
しかし竜巻映像はさすがの迫力で、大画面でそれを見るのが目的のすべてという映画だった。