2024年 114分 日本
監督:三谷幸喜
出演:長澤まさみ、 西島秀俊 坂東彌十郎、 松坂桃李、 遠藤憲一
ミステリー風味のコメディ。 ★★☆
三谷幸喜の脚本/監督による作品。
監督自身もあちらこちらの番組に顔を出しては番宣をするし、長澤まさみと二人でのCMはしょっちゅう流れるし。
それなら観ておこうか・・・。
で、CMでばんばん流されているので、その大雑把な筋は観る前からほとんどの人が知っていると思う。
要するに、行方不明になったスオミ(長澤まさみ)の現・元夫5人が集まり、彼女の話をするのだが、それぞれが語るスオミ像が食い違っている、というもの。
どうしてこんなに食い違う? 果たしてスオミの素顔は?
豪邸に暮らす詩人・寒川(坂東彌十郎)の新妻・スオミが行方不明となった。
あらわれた刑事の草野(西島秀俊)もスオミの元夫だった。
やがて、スオミの元夫たちが次々にあらわれる。庭師(遠藤憲一)までも元夫だった。
彼らは口々に自分と暮らしていたときのスオミについて語るのだが・・・。
一人の女性をめぐってその関係者が語る、という映画で思い出すのは「つやの夜」。
語る人によってその女性”つや”のいろいろな側面が見えてくる、という構図だったが、あちらの映画で語るのは、つやに恋人や夫を奪われた女たちだった。
だから語られる話にもそれなりの棘が含まれていた。
それが物語に深みを与えていた。
それに比べれば、こちらは三谷幸喜である。当然コメディなのである。
傑作だったのはスオミが中国人を装って結婚をしていたときの逸話。
彼女は日本語が話せないふりをして周囲を煙に巻いていた。愉快だね。
それに印象的だったのはスオミの隣にいつも控えていた宮沢エマ扮する女。
スオミの顧問弁護士である宮沢エマは、あるときは中学校の同級生であり、またあるときはブティックの店員(だった?)になったりして、常にスオミのそばにいたのだ。
面白いね。
やがて身代金を寄こせという電話がかかってきて、てんやわんやの展開となる。
スオミ失踪の裏は、まあこんなことだろうなと思っていたものだった。
それほどの意外性やどんでん返しがあるわけでもなかった。
個人的には最後の”ヘルシンキ”のダンスは余分だと思った。
舞台劇の楽しさを盛り込もうとしたのだろうが、これは映画だからね。
三谷幸喜のTVドラマは「古畑任三郎」にしても「鎌倉殿の13人」にしても面白く観ていた。
それに比べると映画監督作はおしなべて今ひとつぱっとしない。
今作もそれほど出来がいいというわけではなかった。
彼はTVドラマと舞台の脚本に集中した方が好いのではないだろうか。
それにしても、長澤まさみって背が高いねえ。足が長いんだなあ。あらためて感心した。