1981年 イギリス 100分
監督:テリー・ギリアム
出演:ショーン・コネリー
ファンタジー大冒険。 ★★★
テリー・ギリアムらしい、相変わらず人をくったような作品。
主人公の少年が6人の小人と共に時空を駆け巡るファンタジー冒険譚である。
でも、その夢物語は滑稽で、どこか皮肉っぽい。
11歳の少年ケヴィンの寝室のタンスの中から6人の小人が現れる。
彼らは時空を越える地図を創造主から盗んできており、この地図を使って財宝を盗むのだという。
なんでも、創造主が短期間で世界を作ったために、時空のところどころに(手抜き工事の)穴が開いてしまっているらしい。
小人たちが盗んできた地図にはそのあらゆる時代を行き来できる穴の位置が記されているらしい。
なるほど、もっともらしい設定を作ってきたな。
こうしてケヴィンは小人たちとの冒険の旅に出かけることになる。
時空の抜け穴を通るのだから、どこにでも行けてしまう。
まずはナポレオンが侵略をおこなっている戦場へ。
小男のナポレオンは自分よりも低身長なものだけを愛でる。皮肉な描き方をしている。
その次にはロビン・フッドが活躍しているシャーウッドの森へ。
盗賊に襲われて木に縛り付けられた恋人たちをまったく助けようともしないところも、なんとも皮肉っぽくて面白い。
そのあとも、アガメムノン、沈没していくタイタニック号、人喰い鬼、巨大な海坊主と、次から次へとケヴィンたちの冒険が続く。
ぶっ飛んでいて、もう何が言いたいのかも意味不明。そこが愉快で楽しい。
軽快さと不思議さがそれこそメリーゴーラウンドか万華鏡のように次々と展開される。
正直なところ、モンティ・パイソン一派の笑いはどうも私は苦手である。
しかしギリアム監督だけは、いささかダークな空想世界が魅力的に思える。
ただこの作品に限って言えば、とりとめがなさ過ぎたかな。
もう眼がまわりそうだよ。
最後にケヴィンは自分の部屋に戻ってくる。ありゃ、家は火事だよ。
しかしこのラストって・・・。いくらケヴィンに無関心だった両親とはいえ・・・。
これキッズ向けの作品じゃなかったんだ・・・。
こんなダークな皮肉たっぷりのエンディングでいいの? ま、そこがテリー・ギリアムか。
消防士に扮してあらわれたショーン・コネリー(それまでもアガメムノンに扮したりしていた)の最後のウインクにはニヤッとさせられた。