2024年 155分 日本
監督:白石和彌
出演:山田孝之、 仲野太賀、 阿部サダヲ
チャンバラ時代劇。 ★★☆
江戸末期の戊辰戦争がおこなわれていた時代。
倒幕の勢いに乗る官軍、それに抵抗する劣勢の幕府軍の戦いの場所は東北地方に移ってきていた。
劣勢の幕府軍は東北地方の諸藩で連盟軍を結成して抵抗を続けている。
新潟湊を擁する小藩の新発田藩はどちらへつこうかと策略をめぐらす。
下手をすりゃ連盟軍、官軍の両方から攻められてしまうぞ。上手いこと立ち回らねば・・・。
家老(阿部サダヲ)は、進軍してきた官軍を峠の砦で食い止め時間稼ぎをしようとする。
よし、罪人どもでその砦を守らせよう。
死罪を免じるという約束で牢から出され、砦に立てこもる10人の罪人たち。
彼らは義憤で人を殺したり、不義密通をしたり、外国への密航未遂者だったりする。
てんでんばらばらな彼らに加えて、3人の藩の武士も監視役をかねて派遣される。
さあ、これで官軍と戦えるのか。官軍は大筒まで持っているぞ。
この映画での不満は大きく二つ。
一つは、十一人の賊軍と言っておきながら(一人は最後のほうになって賊軍に加わる)、そのそれぞれの個性が描ききれていなかったこと。
それに実際の戦力になったのは半数ぐらいしかいないのではないか。あとは寄せ集めといった感じ。
生臭坊主なんか、仲間が死んだ時に念仏を唱えていただけだった。
二つ目は、これは私の勝手な期待であったのだが、砦で敵を迎え撃つとなれば、そう、あの「七人の侍」、そして「十一人の刺客」を思い浮かべるではないか。
(タイトルもこれらにあやかったのだろうし・・・)
用意周到に策を練り、いろいろと仕掛けを作って敵を迎え撃つ、これでしょ。そういったものを期待していたわけだ。
それなのに、本作での十人は何も準備していない? ちょっとは策を練れよ。
すべて行き当たりばったりの戦闘ばかり。こりゃやられるよ。
好かったのは元剣術指南だった老武士役の本山力。彼の殺陣は迫力があった。
東映剣会所属だとのことで、あの「侍タイムスリッパー」や「碁盤斬り」にも出演していたとのこと。
こういう見事な殺陣を見せてくれると時代劇は引き締まるなあ。
(ツッコみ)
考えてみれば、新発田藩が前もって官軍に恭順の意を伝えていれば、こんな砦での戦いはしなくても済んだのでは?
連盟軍がいなくなったら迎え入れますからそれまで2,3日待機していてください、と言っておけばよかったのに。
阿部家老よ、どうしてそうしなかった・・・。
史実でも、新発田藩は属していた連盟軍を裏切って官軍に寝返ったという。
映画は、権力に振り回されて捨て駒にされた者たちの生き様を見せよう、といったところだったのだろう。
しかし最後のあたりの展開はもう教科書通りといったもので、使い古されたエンディングだったのではないかい。
いろいろと不満は尽きない。こちらの期待をあげすぎていたのかも知れない。
でも、それにしてもなあ・・・。