1999年 アメリカ 187分 これは偶然か運命か(蛙が降るのは?)
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:トム・クルーズ、 フィリップ・シーモア・ホフマン、 ジュリアン・ムーア
24時間の群像劇もの。 ★★★★
ロサンゼルスに住む9人の男女の群像劇。
彼らのそれぞれの24時間を平行して描いていくのだが、彼らは意外なところでつながっていたりもする。
そしてその夜、ロサンゼルスの人々にある出来事が起こるのだ。
死期を迎えてベッドに横たわる大物プロデューサーのアール。
彼は長く確執のある息子と最後にもう一度会いたいと望んでいる。
その願いを何とか叶えてやりたいとがんばる介護人にフィリップ・シーモア・ホフマン。
そして財産狙いでアールと結婚したリンダ(ジュリアン・ムーア)は、今は心底彼を愛するようになっていた。
もう遺産なんかいらないわ、遺言を書き換えてくださいな。
癌の宣告を受けているTV人気司会者のジミーは、娘のクローディアに疎まれている。
妻がジミーに尋ねる、どうしてクローディアはあなたを避けるようになったの?
彼女は私がレイプしようとしたと思い込んでいるのだよ。ええっ?
そのクローディアは麻薬中毒者であり、すさんだ生活をおくっている。
そんな彼女に恋をする真面目警官のジムもいる。
私はあなたに恋をされるような値打ちのある人間じゃないの、本当の私のことを知ったらきっとがっかりするわ。
ジミーが司会をしているクイズ番組の天才少年解答者がスタンリー。
そしてその番組のかつての人気者がドニー。
今はその能力も失って落ちぶれた生活をしている。
そのドニーはマッチョなゲイに片思いをしている。彼の気を引くためにお金が欲しいぞ。
こういう群像劇は好きである。
若い日のアンジェリーナ・ジョリーがショーン・コネリーらと共演してた「マイハート、マイラブ」も好きな作品だった(あまり話題にはならない映画だったが 泣)。
ばらばらに描かれていた人たちの意外なつながりが、次第に明かされていっていた。
ああ、アンジーの父親がショーン・コネリーだったのか、といった具合だった・・・。
さて。
トム・クルーズは、いかにして女性にもてるか、そしていかにして女性をモノにするか、という通俗なセミナーの主催者役。
自信満々で悩める男性たちを洗脳していく。
そんな彼は誰とどんな風につながっていくのか。
トム・クルーズの世俗的で野心的で自信満々な役柄は大変に大胆。
トップガンのクールな格好良さとは真逆の雰囲気である。
しかしこの映画の登場人物の中では一番印象的だったのではないだろうか。
あることに悲観して死を選び取ろうとする人がいる。
また、無謀な片思いのために盗みをしてしまい、その盗みを悔やむ人もいる。
娘はなぜ父親に冷たく当たるのか。そんな娘に母親は何をしてやれるのか。
長く不仲だった父と息子が最期の時に再会するのだが、2人はどうするのか。
そんな様々な人生を抱えた人々の身に、一斉にあることが起きる。
えっ、これはどういうことだ。いったい何が起きたのだ・・・。
その”できごと”によって人々の運命が大きく変わる。
3時間越えの作品だが、その面白さに一気に観てしまった。
ベルリン映画祭で銀熊賞を取っています。