1983年 アメリカ 91分
監督:ロバート・ベントン
出演:ロイ・シャイダー、 メリル・ストリープ
殺人サスペンス。 ★★☆
主人公はとても真面目な精神科医のサム(ロイ・シャイダー)。
ある日、彼の患者だったジョージが車の中で刺殺される。
と、彼の愛人だったブルック(メリル・ストリープ)がサムを訪ねてくる。ジョージが忘れていった腕時計を奥さんに返しておいてほしいの。
ということで始まるサスペンス劇。
殺人捜査をしている刑事は、犯人は女性だという。
どこか怪しげな素振りも見せるブルックはまさか・・・? サムは彼女の謎めいた部分に危惧を抱きながらも、次第に魅せられていく。
メリル・ストリープはこの映画のときは33歳。この3年前には同じロバートベントン監督の「クレイマークレイマー」に出ている。
のちの貫禄おば様のイメージとはかけ離れていて、華やかな美女である。
でもどこかに貫禄を感じてしまうのはのちの映画の活躍のイメージのせい?
サスペンスものらしく、不気味さを随所に出してくる。
サムが地下のランドリーに一人でいる場面。物陰に誰かいる? 通路の曲がり角の向こうに何かが潜んでいる? 怖いよ。
たどり着いたエレベーターに乗っていたのは・・・あれ、ブルックじゃないか。
夜の散歩途中で強盗に有り金とコートを奪われたサム。
すると、そのコートを羽織った強盗は何ものかに刺殺されてしまう。
警察は言う、凶器はジョージの時と同じものだ、こいつはあなたと間違われて殺されたんだ。あなたも狙われているぞ。
ユニークだったのは、生きていた頃のジョージがカウンセリングの時に語った奇妙な夢を、サムが分析するところ。
フロイトばりの分析により、その夢は犯人を示唆する内容だったことがクライマックスで判ったりする。
犯人はブルックではないかとサムは疑いはじめている。いかにもブルックが怪しそうな雰囲気で物語は進む。
観ている者もブルックは怪しそうだよな、でもそれじゃ映画にならないか、などと思いながら観ている。
そしていくら怪しいと思っても、サムはもうブルックの魅力に捕らわれてしまっているのだよ。
ブルックはいわゆるファム・ファタールなのだ。大丈夫か、サムは。
いよいよクライマックス。莫大な資産を受け継いだブルックスの生家を一人訪れるサム。
そこで待っていたブルックが自分の生い立ちを語る。すごい長回しである。このときのストリープの演技がすごい。
その語りは人を惹きつける。やはりストリープ、この頃からただの美女俳優ではなかったんだ。
(以下、ネタバレ)
そこへ二人を襲う真犯人があらわれる。ああ、この人だったのか。
最後はそれなりに収まっていきます。
この監督、この映画を撮るに当たってヒッチコック映画をかなり勉強したのではないだろうか。
ところどころでその雰囲気が・・・。