2004年 101分 イギリス
監督:ロジャー・ミッチェル
出演:ダニエル・クレイグ、 リス・エヴァンス、 サマンサ・モートン
ストーカー映画。 ★★☆
恋人のクレア(サマンサ・モートン)と野原へピクニックに来ていたジョー(ダニエル・クレイグ)は気球事故に遭遇する。
居合わせたジョーたち5人が救助しようとしたのだが、中の一人が突風にあおられた気球から落ちて亡くなってしまう。
呆然とするジョー。
突然青空に浮かぶ真っ赤な気球、そして野原に墜落死した無惨な死体。
映像は大変に印象的である。
のどかにひろがる好い天気の野原でのできごとだけに、不調和な事故が衝撃的なものとなっている。
誰の責任でもない事故なのだが、一緒に助けようとした老医師の死に自責の念に捕らわれてしまうジョー。落ち込む日々。
そして一緒に気球救助をしたジェッド(リス・エヴァンス)という男がジョーに接触してくる。
はじめのうちこそ、ちょっと気味悪さもあるが好人物かと思えていたジェッド。
彼はジョーに執拗につきまとうようになる。
自分の思い込みからジョーと特別な関係にある運命だったのだと、神がかり的に言い寄ってくるのだよ。
待ち伏せはするわ、仕事先に入り込んでくるわ、もう勘弁してくれっ!と叫びたくなるわけだ。
主人公役のダニエル・クレイグはまだ007に抜擢される前。
しかしその頃からこんなに繊細な感情を表現できる好い俳優だったのだとあらためて感心する。
というか、こんな知的な雰囲気の彼をよく007に抜擢したなあとも思う。
というか、彼を起用したのでそれまでとまったく異なる真面目007が登場できたのかもしれない。
一方のストーカーのジェッド役の人。どこかで観たなと思っていたのだが、「ノッティングヒルの恋人」でのヒュー・グラントの奇妙な同居人だった。
あの映画でもどこか常識のネジが一つはずれたような役柄だった。
たいへんに印象に残る雰囲気の俳優さんだったのだが、そういえば「ノッティングヒルの恋人」も同じロジャー・ミッシェル監督だった。
お気に入りの俳優なのかも知れない。
さて。ジェッドは正体不明で神出鬼没だし、本当に気持ちの悪い奴。
途中では、もしかしたら、この人物は精神的に追い詰められたジョーが作りだした妄想なのか、と勘ぐってみたりもした。
いやいや、ちゃんと実在人物だった。
ジェッドはジョーに運命的な愛を感じていてのストーカー行為だったのだ。
ジェッドにつきまとわれるジョーは精神的に追い詰められていき、次第にクレアとの関係もおかしくなってくる。
ジョーが気の毒だなあ。
そしてクレアからの電話。ジェッドが私を訪ねてきているのよ。あなたから酷い仕打ちを受けているんですって。
なんだって! 何を馬鹿なことを言っているんだっ!
さあ、どうなるんだ?
ちょっと一癖あるサスペンスものでした。
(以下、ネタバレ)
エンディング映像が恐ろしい。
クレアは幸い一命を取り止め、ジョーは思い出の野原でシャンペンのボトルを開けている。
その頃、精神病院に収容されたジェッドは、幸せそうな笑みを浮かべながら(恋い焦がれる)ジョーに手紙を書き続けている。
なに、これ!