
2010年 106分 アメリカ
監督:アントン・コービン
出演:ジョージ・クルーニー、 ヴィオランテ・プラシド
殺し屋の孤独。 ★★☆
何者かに狙われている殺し屋のジャック(ジョージ・クルーニー)は、組織の指示に従ってイタリアの小さな村に身を潜める。
のどかな村のパブでくつろぎ、親切な根っからの善人である村の教会の神父とも親しくなる。
でも俺は殺し屋だからね。隙は見せないよ。
そうなのだ、ジョージ・クルーニーはこの映画の中では笑顔を封印して、終始厳しい表情である。
殺し屋が主人公の映画だが、派手なアクションやカーチェイスなどは一切ない。
主人公は静かな村での生活を淡々と送り、孤独な殺し屋の寂寥感を漂わせていた。
それに呼応するように、舞台になっているイタリアの田舎町の風情が好い。
石造りの建物や入り組んだ階段。郊外に拡がる田畑・・・。
時折り遠景でそれらを捉えた映像が入るのだが、それがとても美しい。
ジャックは殺人だけではなく、目的に合わせた銃の制作も引き受ける。
組織からやってきた女性スナイパーの注文を受けての仕事を始める。射程、重さ、使用する銃弾など、細かい要求を満たす銃を作っていく。
おお、プロフェッショナルだ。こだわりを持った職人技といった制作の様子は男心を(女心も?)くすぐるなあ。
できあがった銃の試射のためにジャックと女性スナイパーは人気のない渓流に出かける。
着弾点や消音の具合を確かめたりする。
この女性スナイパーはかなりの美形で、緊張した銃性能のやりとりの後にてっきりジャックと懇ろになるのかと思っていた。
でもそうはならなかった。なあんだ。
代わりに登場していたのが、ジャックが気分転換に遊んだ娼婦のクララ(ビオランテ・プラシド)。
この女優さんは初めてみたけれども大変に魅力的だった。
幾度となく豊かで美しい姿態を見せてもくれる。眼福、眼福。
でもプロフィールを見るとミュージシャンもしているよう。あんなに脱いじゃって大丈夫なの?と心配になってしまった。
(以下、後半のあらすじ、ネタバレ)
やがてジャックはクララとディナーを楽しんだり、休日にピクニックに出かけたりと、次第に惹かれていく。
そして完成させた銃制作を最後の仕事にして足を洗いたいと組織に告げる。
果たして組織はそんなことを許してくれるのか?
銃を受け取りに来たあの美形の女性スナイパーはどんな指令を受けてきた?
原題は「ザ・アメリカン」。ジャックはイタリアのひなびた村では目立ってしまうアメリカ人だったのだな。
それにしても邦題の「ラスト・ターゲット」はひどい。B級アクションものに安易に付けられそうなものではないか。
これだといかにもジョージ・クルーニーが狙撃しまくるアクションものというイメージになってしまう。
世評は芳しくないようなのだが、孤独な殺し屋を描いていて嫌いじゃない映画だった。