
2025年 129分 日本
監督:関根光才
出演:小栗旬、 松坂桃李 窪塚洋介
医療実話もの。 ★★★
まだ記憶に新しい「ダイヤモンド・プリンセス」号騒動。
今から3年前の2月に起きた我が国で初めての新型コロナ感染騒動だった。
世界中を巻き込んだパンデミックが日本にやって来た始まりだった。
この映画は、その「ダイヤモンド・プリンセス」号で未知のウイルスに立ち向かった医療チームDMATの活躍を、実話に基づいて描いている。
映画である以上は創作部分もかなりあるのだろうが、登場人物のモデルになった実在の人はいたのだろう。偉い。
当時、我が国には感染症対応の専門機関がなく、代わりに対応を依頼されたのがDMAT。
DMATは本来は災害医療専門のボランティア的組織である。
なに、原因不詳の感染症? 俺たちは広域災害時用のチームだぜ。お門違いだぜ。
・・・しかし誰かがやらなければならない! 損得なしの使命感だけでDMATのメンバーが出動する。偉い。
彼らは治療法もまだ不明のウイルスを相手に自らの命を危険にさらしながら、乗客の治療にあたったのだ。
新型コロナウィルスも今はオミクロン株となり、”死の病気”ではなくなっている。
感染部位も気管支あたりまでとなり、インフルエンザや季節的な感冒とほとんど変わらなくなっている。
しかし当初のデルタ株は恐ろしかった。
デルタ株のウイルスは肺実質へ感染し、呼吸機能そのものに障害を与えた。
当然、合併症がある人や高齢者での致死率は高かった。
この映画のときのウィルスは、その恐ろしいデルタ株である(というか、そんな実体もまだ判っていない未知のウィルスだったわけだが)。
DMATの指揮官・結城に小栗旬、それをサポートする厚生労働省の役人・立松に松坂桃李。
そして実際に船に乗り組み現場対応にあたるDMAT隊の隊長・仙道に窪塚洋介。
他の出演者も好かったが、この3人は好演だった。
特に、”結城ちゃんよ”と小栗に話しかけてバシバシとことを決断していく窪塚が印象的だった。
好い役者だったんだ。
1日刻みで状態は動いていく。
誰にも正解が判らない中でベストと思われる判断をしていく。
これはすごいことである。その重圧たるや、想像にあまりある。でも、誰かがやらなければならない。
腹立たしいのは、そんな現場も知らずに横から口をはさんで批判したり煽ったりする輩。
当時も問題となった感染症専門家と自称する某医師の的外れなDMAT批判。
そして徒に不安を煽ることによって視聴率を上げようとするマスコミ。
それらによって、事にあたっている医療従事者やその家族は理不尽な世間の非難を浴びることになる。
(そして、そんなマスコミ報道に踊らされていたのは、私も含めた一般大衆だ)
後になって事態やその対応を検証することは、今後のためには必要なことである。
しかし、だからといって当時の対応を(百歩ゆずって、もし誤りがあったとしても)責めることは誤りである。
そのときの状況下で彼らは勇気を持って未知の脅威と戦ってくれたのだから。
事態はまったく異なるが、あの福島原発事故を描いた映画「Fukushima50」を思い浮かべる。
あの映画も我が身の危険を顧みずに、誰も経験したことのない重大事態に立ち向かってくれた人たちを描いていた。
映画であるからには脚色されている部分はあるだろう。エンタメ映画としても充分に面白いものになっていた。
そのうえで、登場する人たちの立派な行動に感服あるのみだった。