
1967年 157分 日本
監督:岡本喜八
出演:三船敏郎、 笠智衆、 志村喬、 黒沢年男
玉音放送秘話。 ★★★☆
ポツダム宣言は1945年7月26日に日本に通告されている。無条件降伏の勧告に日本政府は明確な回答を行うことができずにいた。
業を煮やしたアメリカは広島と長崎に原爆を落とし、ソ連も不可侵条約を破棄して侵攻してきた。
日本の敗戦は決定的となった。それでも本土決戦を主張する陸軍は大反対をしていた。
この映画は、1945年8月14日正午のポツダム宣言受諾決定から、翌日正午の昭和天皇による玉音放送までの24時間を描いたドラマ。
大宅壮一名義で出版された半藤一利の同名ノンフィクションを原作にしている。
2015年には原田眞人監督版によりカラー版での再映画化もされていた(未見)。
この1967年版はモノクロで、出演者はそうそうたる顔ぶれである。
穏健な感じの鈴木貫太郎内閣総理大臣に笠智衆。
あくまでも本土決戦を主張する阿南陸軍大臣に三船敏郎。かれはこれまでの戦いは海軍のものだった、これからの本土決戦こそが陸軍の真髄であると力説する。
これに反してポツダム宣言受諾やむなしとするのが米内海軍大臣の山村聡。
ほかに志村喬や加山雄三なども出ていた。
会議では何度も議論が紛糾する。そしてついに御前会議でポツダム宣言受諾が決まる。
ほとんど知らずにいたのだが、実はこの後に「宮城事件」と呼ばれる陸軍将校のクーデターが起きていたのだった。
敗戦を認めようとはしない青年陸軍将校らは、2.26事件の失敗を繰り返さないために、まず宮城を占拠したのである。
映画は緊迫した事態を、経時的にドキュメンタリータッチで描いていく。
大日本帝国の最後の叫びであったのだろう。
それを代表していたのが、皆を扇動する畑中陸軍少佐だった。狂気といっていい情熱である。
目を大きく見開いて絶叫し続ける黒沢年男の凄まじい演技は見事だった。
また、既にポツダム宣言受諾を知りながら、それでもなお特攻隊の出撃を命じた司令官も居たのである。
何という理不尽なことがおこなわれていたことかと愕然としてしまう。
反乱軍は近衛師団長を斬首して軍の命令系統を捏造する。
玉音放送がされる前に、なんとかその録音盤を奪い終戦を国民には知らせないようにする。その間に本土総決戦への道を進むのだ!
彼らは宮内省に押し入り録音盤を探しまくる。鈴木首相宅も襲撃する。
こんなクーデター事件が起きていたとは知らなかった。
あの玉音放送がされるまでに、日本の運命を変えかねない事件があったのだった。
クーデターは失敗に終わり、畑中少佐らは宮城前で自ら命を絶っていく。
重厚感があり、見応えのある映画だった。
今を生きる日本人は一度は観ておいていいのではないだろうか。