あきりんの映画生活

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「幸福の罪」 (2011年) 罪を犯しているのは誰だ

2011年 チェコ  102分 
監督:ヤン・フジェベイク

男と女の愛憎劇。 ★★★☆

 

リハビリ医のトマシュは妻ミラダ、知能障害を持つ息子ダニー(妻の連れ子)、娘テレザ、妻の妹リダ、そして妻の父と暮らしている。
映画は15歳になった娘の誕生日祝いの一家団欒の様子から始まる。
それこそ幸福そうな家族風景である。
しかしその幸福はある罪に裏打ちされたものだったのだ。

 

ある日、トマシュは患者である14歳の少女オリンカへの性的虐待容疑で逮捕される。
事件が表沙汰になったのは、オリンカの日記を母親が見たからだった。
そこにはトマシュのオリンカに対する性的行為を示唆する記述が執拗に書かれていたのだ。

 

トマシュを逮捕した刑事のラダは、実はトマシュの妻ミラダの元夫だった。
トマシュは人妻であったミラダを妊娠させて、いわばラダから略奪婚をしたのである。
善人そうなトマシュだが、なかなかに酷いことをした過去があったのだな。

 

ミラダは元夫ラダを非難する、私を奪われた恨みから夫トマシュを犯罪者にでっち上げたのでしょ。そうに決まっているわ。
あんな日記はオリンカの妄想の産物に決まっているわ。
・・・でも、本当に夫は無実かしら?

なにせ、トマシュは人妻だった私を妊娠させた過去があるのだから・・・。

 

目を引くポスター写真と意味深な邦題。
原題は「無罪」、あるいは「無邪気」。
はて、これにはどんな謎が隠されている?

 

結局、オリンカに対する冤罪がはらされて、トマシュは釈放される。

オリンカは処女だったことが医学的に判明したのだ。(しかし、ここで念を入れた面白い?検証もされているぞ。ちょっと下ネタっぽいので詳細は省略)


中盤から物語の様相ががらりと変わっていく。
それまでは脇役かと思っていたリダ(妻の妹)が中央にあらわれてくる。

なんと、釈放されたトマシュとリダが人目を避けて別荘で密会をしていたのだ。ええっ!

 

トマシュよ、お前はそんな罪を隠していたのか。
リダよ、そしてオリンカよ、女性の一途で純粋な愛情、と言えば聞こえがいいのだが、貴女たちはいわゆる「メンヘラ」だろ。

 

”メンヘラ”というのはメンタルヘルスが良くない状態にある人を差す。
具体的には、恋愛そのものや恋人に依存する人で、結果として相手に対して攻撃性を発揮したりマウンティングしてきたり、ちょっとした言葉に傷つきやすい人などをさす。
要するに、あまり関わりたくない面倒くさい人、だな。 

 

(以下、結末のネタバレ)

 

トマシュは冤罪であるリダ殺しで逮捕されてしまう。

もう身の潔白を晴らすことは出来ない。でも、それ自業自得だな。

 

最後、真っ赤な口紅を塗るオリンカの鏡の中の顔が次第にリダの顔に変化していく。
意味深いものを孕んだ映像で、ここにはやられた。
少女の妄想と大人の現実。果たして罪なのはどちらだ。
もやもやとした、しかし印象的な余韻を残す映画だった。