
1972年 117分 アメリカ
監督:ロナルド・ニーム
出演:ジーン・ハックマン、 アーネスト・ボーグナイン
アドベンチャーもの? ★★★
転覆した豪華客船からの必死の脱出を描いた作品である。
名作古典の2大パニック映画と言えば、私は本作と「タワーリング・インフェルノ」を思い浮かべる。
納得してくれる人も多いのではないだろうか。
豪華客船の沈没という似た状況設定の映画としては「タイタニック」があった。この映画はそれの25年前の作品となる。
もちろん映像技術などは比較にならないわけだが、こちらには恋愛要素を排して、ひたすら脱出劇とした迫力があった。
もちろん、描かれている人物像がそれぞれに活きているからこその傑作となっている。
1400名の乗客を乗せた客船ポセイドン号は海底地震によって発生した大津波により転覆してしまう。
新年を迎えるパーティをしていた乗客たちはパニックに陥る。
船底が上になってしまった船の中で、10人ほどがスコット牧師(ジーン・ハックマン)とともに脱出をこころみる。
スコット牧師は、今はもっとも海面に近くなっている船底に行って助けを待つことを提案する。
そのためにまず大きなクリスマス・ツリーを梯子代わりによじ登る。
スコットに賛同したのはわずか9人だけだった。
あとの者はパーティ会場に残ることを選ぶ。そして流れこんできた濁流に呑み込まれていく。
もちろんどうすれば助かるのかなどという正解は誰にも判らない。
誰の言葉を信じて、どう行動すれば好いのか、誰もが迷う。簡単に言ってしまえば、すべては結果論になるわけだ。
しかし、今は最善と思われることを諦めずにやるだけだっ。
この映画の素晴らしかった点は、アドベンチャー・ゲームのように次々に立ちふさがる関門をどのようにクリアしていくかという緊張感である。
さらに、登場人物たちの人間味が活きていたところである。
それらが最後まで物語を引っぱっていく。
スコットと共に脱出を試みたのは、刑事のロゴ(アーネスト・ボーグ・ナイン)、その愛妻はもと売春婦という過去を持っている。
その他にも中年夫婦や、若い女性歌手、未だ幼い姉弟などなど。
これまでの人生がまったく異質だった彼らが、励まし合いながら難関を何とか切り抜けていく。
一番感動的だったのは、水に没した区域を潜水して次の区画を目指すところ。
それまで太っていて何かと大変だったご婦人が、私は若い頃は水泳の選手だったといって、水中で窮地に陥っていたスコット牧師を助けるのだ。
そして彼女自身は息絶えていくのだ。
彼女の他にも、厳しい試練で一人、また一人と亡くなっていく者がいる。
最後の段階で、みんなを助けるために我が身を犠牲にするのは・・・・。
やっとの事で船底に辿りついた時、外から微かなもの音が聞こえる。驚喜と共に鉄棒で船底を叩いて存在を知らせる生存者たち。
そしてついに船底の一部が焼き切られて空が見える。
何人いるんだ?と訊ねた救助隊員は、6人だという返事に、それだけかと絶句する。
そう、助かったのはそれだけだったのだ。
転覆直前のパーティで歌われていた主題歌「モーニング・アフター」は、アカデミー主題歌賞を取っている。
(ずっとむかしに観た映画だったので、そのことは忘れていた。この歌はカーペンターズだとばかり思い込んでいた 苦笑)
単純明快な、一直線の物語ですが、最後まで見入ってしまいます。
再見しても、よき時代に作られた傑作と思えるものでした。