あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「ザクロの色」 (1969年) 私の生を綾なすもの、それは苦悩である

1969年 78分 アルメニア 
監督:セルゲイ・パラジャーノフ

映像詩。 ★★★★☆

 

1969年に制作された「サヤト・ノヴァ」は旧ソ連の検閲を受け、他の監督によって73分に再編集され、1971年に公開された。いわゆるソ連バージョンである。

今回鑑賞したのは、マーティン・スコセッシ映画財団が2014年に復元を果たしたアルメニア・バージョンである。
可能な限りオリジナルに近づけて、パラジャーノフ監督が意図したオリジナルに近づけたとのこと。

 

物語の核としては、18世紀アルメニアの詩人サヤト・ノバの生涯をつづったということになっている。
王妃に恋をした宮廷詩人サヤトはその想いを詩と琴の演奏で伝えるのだが、恋が実ることはなく、サヤトは修道院に幽閉されてしまう。
セリフのかわりにサヤト・ノバの詩を折り込み、あとは映像で語っている。

 

「詩人の幼年時代」「詩人の青年時代」「王の館」「修道院」「詩人の夢」「詩人の老年時代」「死の天使との出会い」「詩人の死」という8章で、一応は構成されている。
ということなのだが、実際のところ、そんな物語を追うことは困難である。
ただただ絵画のように美しい映像を楽しむことになる。

 

この映画の魅力はなんといってもその鮮烈な色彩である。
ざくろの赤色、生贄に捧げられる羊の血の赤色、そして染め物の青色、白く化粧を施した女性の衣装の緑色、などなど。それらの色彩が画面を豊潤に彩っている。

 

さらに絵画的な構図も印象的である。
登場人物たちはきっちりと正面や横を向いている。まるで宗教絵画をそのまま映像化したかのようなのだ。
そして人物の動きも日本の能や歌舞伎を連想させるようなわざとらしいものである。
日常的動作を芝居がかった動きにすることで、映しているものを非日常的なものにに転換させている。

 

ソフィコ・チアウレリという女優さんが、青年詩人、その恋人、尼僧、、天使と、一人で何役も演じている。
彼女はパラジャーノフ監督のミューズだったとのこと。そうなんだ。

 

この映画は、ジャン=リュック・ゴダールミケランジェロ・アントニオーニピエル・パオロ・パゾリーニルキーノ・ヴィスコンティフェデリコ・フェリーニ、そしてアンドレイ・タルコフスキーなどといった監督たちに影響を与えたとされている。

 

なお、レディ・ガガ911」のMVは本作品のオマージュということで知られている。5分足らずの映像だが、たしかに本作の雰囲気を巧みに取り入れている(YouTubeで見ることができる)。
このMVを監督したのはターセム・シン監督である。
そういえば、彼の「落下の王国」には本作の影響が多分にある気がした。

 

絢爛たる色彩と様式美で満たされた美しい映像を堪能した。
神秘な詩的世界と言ってもいい映像であった。