
1949年 115分 アメリカ
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オリヴィア・デ・ハヴィランド、 モンゴメリイ・クリフト
愛憎心理劇。 ★★★☆
舞台は1850年のニューヨーク。
キャサリン(オリヴィア・デ・ハヴィランド)は裕福な開業医の一人娘だった。つまり遺産相続人である。
しかし彼女は容貌も人並み以下で、そのうえ社交性にも乏しいオールドミスだった。
私なんかどの殿方も相手にはしてくれないのだわ。
そんなキャサリンに、舞踏会で知り合ったモリス(モンゴメリー・クリフト)が言い寄ってきたのだ。
モリスはかなりのイケメン。有頂天になるキャサリン。
しかし、モリスは定職ももたぬ遊び人の青年なのだった。
キャサリンの厳格な父は、あいつは我が家の財産目当てだ、と猛反対するのである。
ウィリアム・ワイラー監督が「ローマの休日」の4年前に撮った映画。
舞台劇がオリジナルで、主な出演者は4人だけ。
なので、ドラマの舞台も舞踏パーティの会場を別にすれば、ほとんどキャサリンの家の中だけ。
限られた登場人物、限られた舞台、それなのに物語には緊張感が漂っていて、物語がどうなるのだろうと思わされる。
それというのも、キャサリン役のオリビア・デ・ハビランドの迫真の演技のため。
彼女はこの映画でアカデミー賞、そしてゴールデングランプリの両方で主演女優賞を取っている。
それも納得の演技なのである。
父はキャサリンの盲目的な恋心を冷まそうとして旅に連れ出したりもするのだが、それも効果なし。
ついに、もしキャサリンがモリスと結婚するなら相続権を棄てるようにと言い放つ。
もちろん彼女は、財産なんか要らないわ、モリスと結婚さえ出来れば幸せよ。さあ、すべてを捨てて二人で新しい地へ行きましょう。
観ている者も、薄々はモリスは口先だけのクソ野郎だろうなと思っている(苦笑)。
そしてその通りに、キャサリンに遺産相続権がないことを知ったモリスは、彼女の前から姿を消したのである。
ほら、言わんこっちゃない。
深夜の駆け落ちの約束をしてモリスを待っていたキャサリンは、夜明けまで待った挙げ句に、まとめた荷物鞄を持って螺旋階段を上って自分の部屋に戻るのである。
彼女の落胆ぶりといったら、それはもう・・・。可哀想なキャサリン。
数年が経ち、父が亡くなり、家も財産も引き継いだキャサリン。
すると、モリスがあらわれたのである。
僕が悪かった、でも、君に貧しい生活をさせることがしのびなくて、僕は君の前から姿を隠したんだよ。
さあ、今度こそ本当に一緒になろう!
ええ、それなら早いほうがいいわ、それじゃ今夜迎えに来てちょうだい。
えっ、キャサリンはまだ彼のことを愛していたのか・・・。いいのか、彼は財産目当てだぞ・・・。
(以下、結末のネタバレ)
夜更けて、期待に弾んだ様子でやって来てドアを叩くモリス。
しかしキャサリンは身じろぎもしない。ドアが開けられることはなかったのである。
昔と同じように財産を欲しがって、愛までも手に入れようというのね。
かっての素朴で純真だった令嬢の姿はなく、低い声で吐き捨てるように言い放つキャサリン。
そしてランプを片手に自分の部屋への螺旋階段を上っていくのである。
裏切られた女の復讐心が凄まじいハヴィランドの演技に込められていた。
お見事。