あきりんの映画生活

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「青春残酷物語」 (1960年) あれが俺たちの青春だったんだ 

1960年 96分 日本 
監督:大島渚
出演:桑野みゆき、 川津祐介、 久我美子、 渡辺文雄

大島渚の第2作。 ★★☆

 

当時としては激しいラブシーンや、即物的な描写などが斬新で、松竹ヌーヴェル・ヴァーグという言葉を生んだ大島渚監督の長編第2作。
描かれているのは1960年安保闘争の時代の若者、そしてそれに対をなすようなもう一世代前の中年者たちである。

 

女子高生の真琴(桑野みゆき)は家まで送ってもらうつもりだった中年男にホテルへ連れ込まれそうになる。
そこへ通りかかった大学生の清(川津祐介)が中年男を殴り倒し、真琴を助ける。
こうして知り合った二人はやがて同棲を始め、美人局まがいの悪事で小金を稼ぐようになる。
欲望、興味のままに行動することによって抑圧してくる社会に対抗しているようなのだ。

 

真琴には歳の少し離れた姉(久我美子)がいる。
彼女には互いに想いを寄せながら寄り添うことのできなかった彼(渡辺文雄)もいた。
「全学連」から「安保闘争」へと至る学生運動が青春だった彼らは、いわゆる”闘いに敗れた”世代だったのだ。

 

このようにあの時代が映画全体を色濃くおおっている。、
本作公開の12日後に安保反対の学生デモ隊が国会に突入し、機動隊との大規模な衝突で樺美智子さんが死亡する事件が発生している。
そしてその一週間後には60年安保は自然成立し、安保反対闘争は敗北し消滅していったのだ。
そういう時代だったのだ。そういう時代の青春だったのだ。

 

妊娠してしまった真琴は、今は下町で医者をしている姉の元カレのところで堕胎手術を受ける。
術後の真琴につきそう清。

印象的だったのは、カーテンの向こうで、町医者の元カレが真琴の姉に語りかけている場面。
「我々は負けてしまったんだ。君の妹達はね、俺達とは逆に欲望を全部貫くという形で世の中に怒りをぶつけているよ。でもね、それだって勝てるかどうか、・・・きっと負けるよ」

 

この映画は当時の世情を感じ取れないと、つまらないものに映るのではないだろうか。
私は60年安保をおぼろげに知っている世代なので、ああ、あれはそういうことだったのだと腑に落ちるものがあった。
それなりに受け取れるものがある映画だった。
ちなみに、大島渚監督は1932年生まれで、真琴と姉の世代に挟まれていることになる。

 

ジャン・リュック・ゴダールは「ゴダールの映画史」で4人の日本人監督の一人として大島渚を取り上げている。
そしてインタビューでゴダールは「本当の意味でのヌーヴェルヴァーグの最初の作品は『青春残酷物語』(1960年)である」と語っている。
へえ、そうなんだ。